2024年4月19日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年4月27日

 蔡は演説で『1992コンセンサス』の拒否を繰り返すことを避けるべきなのか。

 答えは単純である。もし台湾人が、中国による両岸交渉のチャンネル閉鎖、中国人旅行者の台湾訪問禁止、台湾と外交関係のある国の引き離し、その他の陳腐で反動的な脅迫について心配していたならば、蔡を選出していないだろう。

国民の支持得る蔡英文の対中政策

 蔡英文に投票した約690万の有権者は、蔡と民進党が、『1992コンセンサス』(馬英九と国民党は、国民党と共産党の間での「一つの中国、各自解釈」の暗黙の了解として言及している)の存在を認めたことが無いことを知っている。

 蔡の両岸関係についての姿勢は、「現状維持」である。彼女は、それを、台湾の民主主義と両岸の平和の現状を維持すること、と定義している。

 台湾人が中国に叩頭したいのであれば、国民党の朱立倫に投票したはずである。そうしなかったのは、台湾人が、馬英九の親中政策、中国の言いなりになったことを、承認しなかったということである。

 大衆の支持を背景に、蔡は中国の脅しに強力に立ち向かい得る。蔡の就任演説に必要なのは、台湾の国益と尊厳を支持することであり、唯一のプライオリティーは、北京ではなく台湾人を喜ばせることであるべきである。

出典:‘Tsai’s speech for Taiwan, not China’(Taipei Times, March 22, 2016)
http://www.taipeitimes.com/News/editorials/archives/2016/03/22/2003642135

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 来る5月20日の蔡英文総統の就任式において、蔡がいかなる内容の就任演説を行うことになるか内外から注目されています。特に中台関係について、蔡がどのような言い方をするかはその焦点です。


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