2024年11月22日(金)

石油を読む

2016年5月25日

 さて、近い将来「日本LNGハブ」市場ができるのか? 機能するか?

 筆者は、国際石油価格は、市場取引の中で“発見される”という実態を書き続けている。価格とは売り手と買い手が折り合い、成約したレベルで決まるものである。

LNG市場における価格の決まり方

 ここで、売り手と買い手が違った相場見通しを持って市場に臨むから、取引が成立する。今後の世界石油需給は緩むのか、不足気味なのか。「余る、相場は軟調で推移するだろう、だから今、高いうちに売ります」という人と、「いや、そうは思わない、米国経済が持ち直すだろうから、不足」という人が、市場で出会い、売買が成立する。それぞれ相場の根拠に需給を参照するが、見通しが異なった。他方で先物市場には、現物需給を見てもいないトレイダーたちがいる。「当面ドル安だ。よし、手持ちドル先物は、売り。値上がり期待の原油先物を買おう」

 逆に言えば、市場参加者が全員、今後は上げ相場、と見通してしまうと売り手が消える。市場に売り手と買い手がいないと、価格は見つからない。

 さて、「日本LNGハブ」市場である。

 一年半前2014年9月、経産省の肝いりでLNG先物市場が開設された。なにしろ、アベノミクス「第3の矢」で、「エネルギー先物市場の整備等の取組を、着実かつ早急に進める」と書いてもらったので大いに貫禄がついた。そこで、Japan OTC Exchange(JOE)というところがLNG店頭市場を作った。

 JOEは東京商品取引所と、シンガポールを拠点とするギンガエナジージャパンの合弁だ。この市場では2種類の、日本着LNG船渡し商品が取引される。ひとつは取引単位25万mmBTUで、最少約定単位が5ロット(約2万5000トン相当)の大口取引、もうひとつは5万mmBTU単位の通常取引だ。現物LNGカーゴを受け渡しせず、売り手と買い手が相対で差金決済をする。

 LNGの先物市場ができれば、日本・アジア域でのLNG需給に基づいた合理的な価格形成が始まるのです、と役所が説明してきた。


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