LNGはタンカー輸送だ。気体の天然ガスとは異なり、取引はカーゴ単位で行われている。そこで当面、事業者間、すなわちLNGカーゴの売り手と買い手間の、現物スポット取引市場を育成したい。成約した取引が他の関係者の知るところとなれば、市場らしきものが出来始める。
プレイヤーは民間に託される
取引情報を取材するのは、プラッツ、アーガス、リム情報開発等の価格報告機関(PRA:Price Reporting Agency)の記者たちで、当事者からインサイド情報を聞き出し、メディアで発信するのが生業だ。経産省はこの種の情報発信は、「LNGハブ」形成に不可欠だとし、価格報告機関(PRA)を積極的に支援する。曰く、
「市場参加者が「LNG価格指標」を確立させ、指標を育てていくという意志を持ち、積極的な情報開示や課題の指摘などを実践することが重要である。取引価格の対外的な公表は契約上の秘密保持義務の観点から困難であるとの指摘もあるが、今後は指標を育てるために、双方が合意するPRA等への情報開示については匿名性を守りながら許容することも重要ではないかと考えられる」
おや、これは……と思われるだろうが、経産省は「プレイヤーは民間(Private First)」と書き込んでくれてもいる。曰く、
「売り手・買い手等LNG市場に参加する民間事業者の意志とイニシアティブが何よりも重要であり、国の役割はそのための環境整備や市場監視に徹することである。……国による過度な介入は、健全な市場発展の阻害要因にもなりかねないことに留意したい」
現物スポット市場が形成されれば、次は先物市場だ。曰く、
「加えて、単なるLNGの取引に加え、先物取引等を含む関連ビジネスが発展していく可能性が高まる」