江藤哲郎のInnovation Finding Journey

2016年6月7日

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江藤哲郎 (えとう てつろう)

ベンチャーキャピタリスト

 鹿児島県出身。1984年慶應大商学部卒業。同年(株)アスキー入社。86年マイクロソフト(株)設立に参加し、マーケティング部長代理としてWindowsコンソシアム、マルチメディア国際会議等を立ち上げる。

 92年(株)電通入社後、デジタル・コンテンツの開発とビジネス化を推進。2002年から情報システム局でSAPアジア共通会計システムを中国・アジアの30拠点に導入他、国内外の全システム開発を担当。2013年から経営企画局専任局次長として、電通が約4,000億円で買収したイージスとのグローバルIT統合の責任者。

 2015年7月、ワシントン州カークランドにInnovation Finders Capitalを設立。AI、ビッグデータ等スタートアップを日本と繋げる。家族は妻と一男。
 

日本企業がいいディールをできたケースを
聞いたことがない

 もうひとつのポイントは、「B to B」の技術やイノベーションを探すこと。「B to C」は、特に米国でユーザー獲得に成功しているものほど、バリュエーションが異常に高止まりし、普通の感覚の金額では買えない。しかも、困ったことに彼らはユーザー数がどんなに多くてもレベニューが全くなかったりする。さらには多くの場合、シリコンバレーのVCが牛耳っている。それで日本企業がいいディールをできたケースを聞いたことがない。対照的に「B to B」だと、まず餅は餅屋の世界となる。バーティカルだ。冷静な査定が出るし、まず試しに技術を買って日本で再販してみるというスモールスタートが可能だ。

 「B to B」でこれから注目し期待できる分野は、ずばりAI(人工知能)だ。なぜか? すべての業種に応用可能だからである。例えば、IBMのWatsonエコシステムのCTOのスリダール・スダーハンが示す実例だが、癌の早期発見のためにWatsonを応用している。これまでの癌検査においては医師が自身の経験値に基づき、頭の中の事例を呼び起こして診断するが、Watsonは世界中の癌検査に関する過去データを全て読み取りデータベース化し、マシンラーニング・ プログラムで医師の診断を支援している。もう実用化されているのだ。

 もう一つAIが注目されているのは、そのポジショニングだ。ビッグデータの勝者はAIだとよく言われるが、AIを握るとロボットへ、ドローンへと次々と成長分野への応用が可能となる。ディープラーニングを実現する技術革新によりAIは今後最も重要な技術となった。

東京でセミナーを行う筆者 ©Naonori Kohira

 私自身も、日本にイノベーションを集めるために、日本の大手企業様のイノベーションのニーズをヒアリングしている。そのニーズに基づくファインディングを主にシアトルでワシントン州政府の支援を受け、ワシントン大学、VC、インキュベータのネットワークの内側にいて情報交換を行い、彼らから彼らのポートフォリオであるスタートアップの紹介を得ている。これは非常に重要なアプローチだが、実際これが今まで日本の既存のVCができなかったことだと思う。

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