2024年12月22日(日)

WEDGE REPORT

2016年5月30日

米国における自動車の聖地といえば誰もがデトロイトを思い浮かべる。しかし、コネクテッドカー(つながるクルマ)や自動運転の開発が急務となり、IT産業との協業も必要になってきていることから、世界中の自動車メーカーがシリコンバレーに拠点を構えるようになっている。早くからシリコンバレーに進出していたホンダはこれまで何をしてきたのか。HSVL(ホンダ・シリコンバレー・ラボ)を取材した。現在発売中の『Wedge6月号』では、「自動車産業が壊れる日」と題して、米国の自動運転開発の現状や次世代カーシェアなどについて、現地ルポを行い特集しています。

 自動車業界の最新トレンドに、「シリコンバレーに研究開発拠点を構える」というものがある。トヨタ自動車は人工知能開発を担うTRI(トヨタ・リサーチ・インスティテュート)をスタンフォード大学から徒歩圏のところに拠点を新設し、メルセデス・ベンツは300人規模の研究開発拠点をサニーベールにオープンさせた。VW・アウディはサンカルロスに、BMWはマウンテンビューにそれぞれ研究開発部門を置いている。

 「クルマがつながる時代」に突入し、自動車メーカーとしても、シリコンバレーから発信される情報にいち早くアクセスする必要が出てきた。また、自動運転の開発が進むに従って、シリコンバレーに拠点を構えるIT企業との協業が重視されてきているのも事実だ。

クルマよりネットにつながっていたい

 世界では、若い世代を中心に「スマホで使える便利な機能を、運転している間も安全に使いたい」という声が高まっている。実際、フォードは「この数年で全人口の80%がスマホを持つ時代になる」との予測を発表している。

 また、米国の調査では「自由に過ごせる時間のうち、47%の時間でスマホを見て過ごしている」、「ほぼ半数の人が、クルマよりネットにつながっていたい」という意見だ。米国では特に通勤渋滞がひどいため、運転中にメッセージのやりとりをしたり、SNSのチェックやポスティングができたりすればいいと思うのも当然だ。

 話をシリコンバレーに戻そう。ホンダは2000年と、比較的早い段階でシリコンバレーに進出している。HSVL(ホンダ・シリコンバレー・ラボ)が拠点を構えるのは、グーグルも本拠地を構えるマウンテンビューだ。

 ホンダの社内でも、HSVLについて詳しく知る人は少ない。住所を頼りに現地に向かうと、赤と白のホンダらしいカラーリングのエントランスが見えてきた。


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