自動運転車が実用化されると、自動車のシェア利用が拡大し、新車販売台数は40%減少する――。バークレイズがそんなレポートを発表している。しかし、昨今、自動車メーカーにとって「脅威」であるはずのカーシェア事業に、GM、フォード、BMWなど、欧米の大手自動車メーカーが、続々と参入している。各社の思惑とは。現在発売中のWedge6月号では、「自動車産業が壊れる日」と題して、米国の自動運転開発や次世代カーシェアなどについて、現地ルポを行い特集しています。
自動運転と並び、既存の自動車業界を揺さぶっているのが「カーシェア」だ。
2025年までには、自動車全体の20%がシェア利用されると言われている。自動車メーカーは、自動車ビジネスの新しいあり方を模索することを迫られているのだ。
今年2月にバルセロナで開催された、世界最大級のモバイル見本市「モバイルワールドコングレス」で、フォードのマーク・フィールズCEOは「フォードは、自動車メーカーから、自動車サービス企業に変わる」と宣言した。
かつて自動車は憧れの対象であり、若者にとっては所有する車がそのアイデンティティーとなっていた。今や若者にとってのアイデンティティーはスマホなどの電子機器にとって代わられ、自動車は「持つ」ものから「使う」ものへと急速に変化を遂げている。
そうした現状に危機感を抱き、最近BMW、GM、フォードなどの欧米の大手自動車メーカーが、相次いで「カーシェア」事業に参入している。
日本においても、1960年代からトヨタや日産などのメーカーが、自社の車をレンタルする「レンタカー」ビジネスを展開したが、それらのサービスとは内容も狙いも大きく異なる。
BMWは、今年4月に米国シアトルで「ReachNow」というカーシェアサービスをスタートした。ReachNowは、BMWおよび傘下のMINIの自動車を「1分単位」で、「どこからどこへでも」簡単に借りることができるサービスだ。
BMWのReachNowで借りることができる自動車(写真・REACHNOW)