Wedge REPORT

2016年5月23日

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 最後に、今後自動運転技術が普及する中で大きく変わる4つのビジネス(コンテンツ、コマース、保険、自動車)についてまとめてみたい。

今後も販売好調と予測する自動車メーカー

 1つ目は「コンテンツ」だ。これまで自動車ビジネスにおいてコンテンツというと、あくまで運転を補助するもの、例えば、カーナビにおける地図やカーステレオからの音楽というものに限定されていた。

 これが自動運転によって大きく変わると考えられている。当初は自動運転といっても運転手はハンドルに手をかけている必要はあるが、将来的には運転はすべてコンピューターに任せて、ビジネスマンはビデオ会議をしながら、一般の消費者はテレビを見ながら目的地まで行くという時代が来る。

 日本では、通勤時間の電車の中で大きなスマホアプリ市場が生まれたと言われているが、今度は自動車の中で様々なアプリ、コンテンツを楽しむ時間が生まれる。

 2つ目は「コマース」だ。自動車は、元来旅行や買い物など、消費者の消費行動と紐付いている。これまでは旅行や買い物に行くための移動手段にすぎなかったが、これからはナビに指定された目的地や過去の利用履歴などからパーソナライズされたクーポンが表示されたり、目的地の遊園地の入場券を車の画面から買うなど、新たなコマーススタイルの発生が想像される。VISAは、自動車の中から様々なものが購入できる「車内コマース」のコンセプトを発表している。

 3つ目は「保険」だ。現在国内だけで約8兆円の市場規模がある損害保険市場であるが、これは「自動車が事故を起こす」という前提に形成されている市場だ。一般道でテスト走行を続けているGoogleの自動運転車がこれまでに起こした事故はたったの一度(低速でのバスとの接触事故)。

 将来的に道路を走る車が全て自動運転車となり、それぞれが通信を行い、協調しながら走行するようになれば、交通事故の数が激減することは間違いない。損害保険市場がいきなりなくなるとは考えにくいが、中長期的には確実に縮小していくことになる。

 最後は自動車産業そのものだ。現在日本の自動車メーカーの販売は好調であり、今後も新興国を中心に需要が伸び、販売は順調に成長するという予測をしている会社が多い。果たしてそれは本当だろうか?

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