自動運転車が普及すると、そもそも所有者が運転をする必要がなくなり、駐車場に止めている間でも、無人の状態で他の消費者の移動手段として使われることになると考えられている。
バークレイズのレポートによれば、こうしたシェアリングの加速により、自動車1台あたりの走行距離が2~4倍程度に伸び、結果として自動車の世界販売台数は40%程度減少すると予測されている。
「自動運転でない車」との共存が難しいため、自動運転車の普及はなかなか進まないという見方もあるが、まだ自動車の普及が十分でない新興国で一気に普及する可能性が高いと考えている。2000年代に、固定電話が普及していなかった東南アジアやアフリカなどの地域で、インフラの整備が比較的安価に出来る携帯電話が一気に普及したのと同じ構図だ。
1908年のT型フォード発売以来、製造業の中心的存在であり続けてきた自動車産業。「シェアリング」という利用形態の変化と、「自動運転」という技術革新により、その形を大きく変えようとしている。
00年代に同様の変化が起こった携帯電話業界では、ハードウェアを作る携帯端末メーカーからOS/ソフトウェアメーカーへと主導権が移り、アップル、Googleが業界の覇者となった。果たして、10年後の自動車ビジネスの覇権を握るのは、トヨタなどの自動車メーカーか、Googleなどのテクノロジー企業か、はたまたUberなどのスタートアップであろうか。
現在発売中のWedge6月号では、「自動車産業が壊れる日」と題して、米国の自動運転開発や次世代カーシェアなどについて、現地ルポを行い特集しています。
■特集「自動車産業が壊れる日 自動運転の“先”にある新秩序」
・米国総力取材 IT企業が先行する自動運転 崩れる自動車業界の力関係
・自動車メーカーは置き去り Googleが目指す完全自動運転
・欧米自動車メーカーが続々参入 なぜいまカーシェアなのか?
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