16年に入ってからわずか3カ月の間に、立て続けに3つもの新興企業への投資、買収を行ったことになる。Cruiseの買収にあたっては、設立わずか3年弱のスタートアップの買収のために、社長自らが交渉に乗り出したという噂もあり、その本気度が伺える。
GMがライドシェアに積極的な背景には、Uber、Lyftなどのドライバーは非常に燃費を気にするため、燃費の良い日本車が好まれ、GMの車に乗っているドライバーはあまり見かけないなどの事情もあるかもしれない。燃費のよい自動車でさえも、所有から使用が前提の時代になると、販売シェアは高まるかもしれないが、販売台数は減ることになる。消費者に魅力をわかってもらえなければ、時代から取り残される可能性がある。
自動車メーカーがこうして動き出す以前から、Googleをはじめとするテクノロジー系企業は投資、パートナーシップに積極的に動いていた。Googleは、Uberにとっての初期(13年)の大きな投資家であり、Google Mapsとの連携、ボルボ、フォード、Lyftなどと共同での自動運転推進団体の設立、など活発に動き始めている。マイクロソフトやアマゾンなどもUberに投資を行っている。
また、中国企業も投資に積極的だ。Uberには検索大手の百度(バイドゥ)が、Lyftにはeコマース大手のアリババとゲーム大手のテンセントが出資をしている。最も具体的な動きを見せているのは百度だ。同社は、米国に大きなAI研究所を持っており、自動運転への参入も表明している。
一方で、日本勢の動きは限定的だ。Lyftには楽天が出資しているが、その他目立った動きはない。トヨタが、昨年11月に米国シリコンバレーにAIの研究所を設立し、今後5年間で10億ドル(約1100億円)を投資することを発表しているが、まだ具体的な動きは見えてこない。