事態を重く見た政府が4日後の9月15日、同社に対して公共事業の指名停止および経営陣の出国禁止を命じる厳しい行政処分を下したのだ。これにより新規事業へ参加が出来なくなった同社は大量の余剰人員を抱えることになった。
第2は、油価下落に直面したサウジ政府が歳出削減のため、既存の工事代金の支払いを停止したことである。これによりSBGほかの建設会社は数カ月にわたる賃金の未払いを余儀なくされてしまった。
解雇の発表が結果的に功を奏すことに
SBGが大量の労働者の解雇を発表してから約2週間後、サウジ政府は工事代金の支払いを行うと共に、同社に対する公共事業の指名停止処分を撤回している。
結果的にSBGの件は、外国人労働者の不満拡大により社会不安が高まることを恐れるサウジ政府の、迅速な対応を生んだわけである。その意味では、どこまでそのような意図があったのかは定かでないがSBGにとっては大量の解雇の発表が功を奏した形となっている。
湾岸産油国では多くの建設会社が油価下落による公共事業の発注停止や工事代金の支払い遅延に直面している。SBGの例が氷山の一角に過ぎないことを、忘れてはならない。
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