2024年12月23日(月)

古希バックパッカー海外放浪記

2016年8月28日

 ナポレオンの道の頂上付近を越えるとなだらかな尾根道が続く。欧米人の7~8人のグループと一緒になる。彼らもそれぞれ単独で巡礼を始めたが昨夜同じ宿で知り合って一緒に歩いているとのこと。リーダー格のデビッドはメキシコ人で英語も上手だ。彼が簡単にメンバーを紹介する。

 ティナはフィンランド人で学校の教師。フィンランドは子供の学力水準が世界有数で教師の社会的地位も高いと読んだことがあった。さっそく教育問題についてティナに話を聞いた。ティナによるとここ数年学力テストの順位は最近少し下がってきた。やはりシンガポール、中国などアジア勢の追い上げがすごいという。

 日本では家庭の所得格差が子供の学力に反映して学力格差に繋がっている。それが学歴格差となりさらに所得格差が広がっていると格差の連鎖を説明したところ、ティナのコメントは興味深かった。

 フィンランド政府の基本方針は“教育の機会均等”であるという。子供一人一人の意欲や能力は異なるのが当然で全員が同じ学力水準を目指すのは不可能であり不合理。すなわち“学力水準の均等”はあり得ない。それゆえ意欲・能力のある子供には高等教育の機会を与えるというのが“教育の機会均等原則”。貧乏な家庭でも子供が優秀ならば無償で高等教育を受けられる。裏を返せば“学力不振の子供はそれなりの道を行け”ということらしい。

 さすが個人主義の考え方が貫徹している北欧国家である。日本で同じことを公言すれば“差別だ”“切り捨てだ”と大騒ぎになるであろうと思った。おしゃべりしていたら峠を越えて緩い下り坂になってきた。彼らがランチ休憩するというので別れた。

ナポレオンの道の頂上付近では馬が放牧されていた。この先はなだからな下りが続く。

 


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