法務省のHPに、 少年院は家庭裁判所から保護処分として送致された少年を収容し、更生のための専門的な教育を行う施設で、健全なものの見方や考え方などを指導する生活指導、基礎学力を付与する教科指導、職業生活に必要な知識・技能を習得させる職業指導などの矯正教育を行うとともに、関係機関との連携の下、出院後の生活環境の調整、修学に向けた支援や就労支援等の円滑な社会復帰につなげるための支援を行うと記されている。
その任に当たるのが法務教官である。
各種メディアから受け取る体感治安とは異なり、刑法犯少年の検挙人員は、2004年から12年連続で減少記録を更新している。人口比でも10年以降、6年連続で減り続けていることは、前回の「スポーツ通じて考える 過ち犯した少年との向き合い方とは」でも触れたが、出院した少年が再び罪を犯すケースがあることから、再犯の防止は、社会全体の安定を図る重要な課題であることは言うまでもない。
複雑化する社会を反映するように、少年犯罪も多様化してきている。一度社会の枠組みから外れた少年たちが更生し、真に社会復帰を果たす過程における法務教官の役割は極めて大きい。
今回は少年たちと日々接している法務教官を取材した。
市原学園法務教官 中村和久専門官 寮主任に聞く
大学卒業後、いったんは証券会社に就職するも、教育の道を志し28歳で転職した法務教官 中村和久専門官。すでにこの道20年を超すベテランとなった中村氏は、寮主任として日々少年たちと密接に関わり合いながら教育に携わっている。
――証券マンからの転職とは珍しいキャリアですね。
中村和久専門官:大学時代にもっと職業や人生について真剣に考えておけばよかったという後悔もあって悩んでいたところ、バブルが弾けて、先々が見えなくなっていきました。もちろんそのまま頑張るという選択肢もあったのですが、元々人が大好きで教員志望だったこともあり考え抜いた結果、より深く人に関われるということでこの道にチャレンジしようと決心しました。
進学校の先生も少年院の法務教官も、教育という点では大きな違いはないと思ったのです。それがこの職業を選んだ理由です。
人が好きで教員を志したので、なる前となった後で違和感のようなものはありませんでした。
法務教官になっている職員は、きっと教員志望の流れから入ることが多いんじゃないかと思います。