ルポ・少年院の子どもたち

2016年6月14日

»著者プロフィール

――少年院は365日、24時間体制ですが、どのような点に留意されていますか。

 市原学園の標準的教育期間は20週間です。それを3週間、8週間、9週間というように3段階に分けて、生活指導、教科指導、体育指導、職業指導、特別活動指導を行いますが、反則行為などがあれば期間は延長されます。

在院生たちの作品

 昨年法律が改正されて、日中はかなりハードなカリキュラムが組まれています。

 現在、市原学園には約40数名が3寮に分かれて生活していて、各寮6人の教官で24時間体制で指導に当たっています。

 私が主に接するのは15人程ですが、ひとりでクラスを崩壊させてしまうような子たちが集まっていると想像してください。

 夜は心情不安定になるケースがあるので、個人の面接などは控えています。それは面接を実施した職員が話したことや少年の心情について、当直職員に詳しく引き継ぎがなされなかったりすると対応ができないからです。それで職員が多くいる時間で、手に多少の余裕のある昼間時間に面接を行うようにしています。

 また、職員であれば子どもたちとコミュニケーションを図りたいと思うのですが、我々がまずしなければならないことは職員同士のコミュニケーションなのです。これが最も重要です。

 子どもたちの教育の前提には職員同士の信頼関係が必要です。職員同士が上手くいっていないと、子どもから発せられた言葉や行動について情報共有できなかったりしてしまう可能性があります。たとえそれが小さなことであっても、ボタンの掛け違いを起こしてしまいます。

 経験を積んだ職員は子どもが発した言葉や行動などの報告を疎かにしません。また、繊細に観察します。少年の心情を押さえた上で指導することができずに本来は避けられたであろうトラブルが起こったり、最悪は自ら命を絶つようなことにまで至ります。甘やかすことはありませんが、各少年の心身の状況をしっかり押さえた上で様々な負荷をかけていきます。

――具体的にはそれがどのような形で少年への教育につながっていますか?

 極端なケースだと何も引き継ぎを受けていなかった職員が傷つけられることにもつながります。

 ある職員から指導されて面白くない感情をためていたとします。それが別の職員に対して爆発するといったケースです。情報共有が上手くできていればそれは避けられます。

 少年の心をコップの水に例えるならば、いまはコップの水がすれすれまできているから、少しこぼしておかないと水がこぼれる(爆発する)と判断して、少し水をこぼすようなアプローチだって情報共有が出来ていれば可能です。家庭の中での父親や母親にそれぞれの役割があるように、複数の職員がしっかりタッグを組んで状況により役割を果たしていきます。

 常日頃から子どもたちの態度や言葉などの情報を共有しているからこそ、こちらも細かな対応が可能になりますから、特に若い職員には先輩職員に伝えることの大切さを理解させつつ、どんな小さなことでも言いやすい雰囲気をつくるよう心を配っています。

関連記事

新着記事

»もっと見る