ピレネー越えの後夜祭
夕刻4時頃、26kmの山道を踏破して無事ピレネーのスペイン側の麓ロンセボーに到着。数百人は収容できる公営の施設へ。次から次へとピレネーを越えてきた巡礼者が到着してレセプションはごった返している。やっとベッドを確保する。シーツ、毛布の類は一切ない。腹が減っているがスーパー、雑貨屋の類は一切ない。
仕方なく巡礼者用公営レストランで巡礼者セットメニューを予約したら先着順とのことでテーブルに案内できるのは数時間先という。やむなく10ユーロ支払い予約カードをもらった。
予約カードには「ディナー:夜8時半から」と書いてある。ウェイティング・バーに行くと顔見知りらしい数人が無事ピレネーを越えたと祝杯を挙げて大騒ぎしている。呼び込まれて誰のおごりか分からないが地元の上質の冷えた白ワインを数杯立て続けに乾杯した。
南スペインは英国人年金生活者のパラダイス
8時半にやっとテーブルに案内された。予約番号で座席が指定されている。イギリス人三人と同席だ。三人とも同室でベッドが隣同士だ。スティーブは57歳、昨年退職して現在スペイン南部の保養地コスタ・デル・ソルで暮らしている。南スペインは物価が安いので退職した英国の年金生活者が沢山暮らしており英国人コミュニティがあちこりにあるそうだ。ジョンは65歳で“バツ2”、キャロルはアラフォーのようだ。キャロルがロンドンの日本食レストランで働いていた時に常連客のジョンがナンパしたそうだ。ちなみにスティーブはバツイチで昨年当時付き合っていたガールフレンドと一緒に南スペインに移住したが、その後別れて今は一人で自由に暮らしていると。
欧米人の人生は外見上ふつうで平凡にみえる人々でも往々にしてこの3人の様に恋愛→同棲→結婚→離婚→恋愛→同棲→別離→恋愛→同棲・・・と何度もパートナーを変えながら有為転変というパターンが多い。欧米人はこうした人生の有為転変を初対面の私のような人間にも率直に自然に当然のことのように話す。日本人なら赤の他人の初対面の相手には絶対に打ち明けないであろう。最近は少し変わってきたとはいえまだまだ我々日本人には理解し難い部分である。
⇒第11回へ続く
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