2024年4月20日(土)

坂本幸雄の漂流ものづくり大国の治し方

2016年7月25日

 過去、私もシャープやJDI(ジャパンディスプレイ)からお誘いを受けたことがあるが、専門外であり、プロとしての判断をできるとは思えないため、お断りした。

 私のホームグラウンドである半導体業界に目を転じると、業績が伸び悩む日本企業が多いが、ルネサスエレクトロニクスにしても富士通とパナソニックのシステムLSI部門が統合してできたソシオネクストにしても、経営者は半導体のプロではない。トップ人事からしてずれているのだから、苦境に陥っているのは当然といえる。

 日産自動車のカルロス・ゴーン社長兼CEOも日本でプロ経営者として知られるが、彼は自動車分野に活動領域を絞っている。今回の三菱自動車の買収劇は見事としか言いようがなかったが、あの判断ができるのは、彼が自動車業界のプロだからだ。

 また、コンサルタント出身者が経営者として高給でヘッドハントされる事例もあるが、これは「アウトオブディスカッション(議論の対象外)」だ。彼らは経営者としての実務経験がない。

 では日本の大企業はどのように次期経営者を育てればよいのか。大企業は事業部ごとにスピンオフ(資本関係を維持したまま独立)させて、それぞれが独自に経営判断を行い、IPO(上場)を目指すかたちがよいと思っている。本体は株だけ保有し、経営に口を出さない。こうすれば、事業部ごとに最適な判断ができるうえ、次期経営者も育つ。日本企業は、まだまだ伸びる余地がある。

  
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◆Wedge2016年8月号より

 


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