2024年7月16日(火)

風の谷幼稚園 3歳から心を育てる

2010年2月11日

ひらがなでしゃべらず
漢字でしゃべる

 さて、年長児の自覚を促すために他にどのようなことが行われているのかを紹介してみよう。

言葉の使い方一つで、子どもたちの意識も変わるという天野園長。

 まずは、風組になりたての4月から5月の間は、日常的に使う言葉に変化を持たせるようにしている。例えば、鳥組までは「グループ」という名称を使っていたが、風組になると「班」と名称が変わる。また、朝の会での先生の言葉遣いも変化を見せる。今までは「お休みの人を調べます」とか「名前を呼ぶね」と先生が優しく声をかけていたが、「出席をとります」となり、屋外活動の時間も「集まりだよー」が「はい、集合して」という具合だ。これらの変化を風の谷幼稚園では「漢字でしゃべる」と表現しているが、子どもたちに「一段階、大きくなったような気持ち」を抱かせる効果が大きいという。

 「これらはテクニックですが、この時期の子どもたちは一人前に扱われることがとても嬉しいのです。そして、その気持ちが成長意欲を引き出します。例えば、年長児クラスに進級した段階で、出席をとるときには『今日からは“ちゃん”じゃなくて“さん”と呼ぶよ』というと、子どもたちは嬉しそうに『うん、わかった』と受け入れます」(天野園長)

 実際に、年中児クラスから進級してほんの1ヶ月もたたない子どもたちだが、大人たちの接し方の変化を受けて、大きく行動が変わってくる。この様子は先生と親の間で交わされる“れんらくちょう”にも記されている。

風組になってからの二奈は自ら進んで手伝いをやるようになりました。(といってもまだ数日ですが)
掃き掃除をしている二奈に「あら! そうじしてくれているの?」とたずねれば、「そう、風組だから」。
食事の前にテーブルを拭いて(かなり念入りに)きれいにしているのを見て、声をかければ「風組だからね」など、ふたこと目には「風組だから」と言っています。
ぶつぶつ言いながら絵を描いていると思えば花組への手紙とのこと・・・。
本当に今までの風組の存在の大きさを感じます。「憧れ」ってすごい力を発揮できるようになるんですね。
憧れの風組になれた嬉しさと、(それなりの)責任感で、二奈の気持ちは今、満ちているようです。明日の花組を迎えての二奈の話が楽しみです。                    “れんらくちょう”より

 自分の原体験をもとに、年長者であることを明確に“自覚”し、具体的に行動する中で“誇り”を育んでいく風組の子どもたち。5歳児たちの成長ドラマから、大人が学ぶことも多いにあるようだ。

 ※次回の更新は、2月18日(木)を予定しております。

風の谷幼稚園
園長・天野優子氏が、理想の幼児教育を実現するためにゼロから建設に乗り出す。様々な困難を乗り越え、1998年に神奈川県川崎市麻生区に開園。「人間が人間らしく、誇りを持って生きていく」ための教育を実践している。

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