管理会計のポイントと次回への宿題
ここで管理会計の最低限のポイントを二点指摘することにしよう。
まず1点目。管理会計は未来志向であるということ。
皆さんご存じの決算書を中心とした会計(これを財務会計という)は過去志向の会計。
これまでどうだったかという「過去」を決算書にまとめる会計だ。これに対して管理会計=マネジメント・アカウンティングは未来の会計。つまり「計画」のための会計だ。過去にこだわらず、未来を見なきゃダメだってこと。できないビジネスマンは過去を見てため息をつく。できるビジネスマンは未来の作戦を考えましょうってわけだ。
次に2点目。管理会計は内部利用目的だということ。
財務会計でつくられる決算書は基本的に株主・投資家・債権者など外部者のために作られる。これに対して管理会計は内部利用が目的だ。部外者は関係なし。自分の儲けをいかにすれば大きくできるか。こうした自分のための役立ち=内部利用が大きなテーマになる。
管理会計は「未来志向+内部利用」。このことを覚えておいて欲しい。
管理会計はマネジメント・アカウンティング。だから「経営者・管理者のための会計」といえるかもしれない。経営者・管理者にとっては必須とも言える内容だ。でも、だからといって「自分は経営者じゃないし・・・」という二〇代、三〇代の読者の皆さん、どうか逃げないでいただきたい。この管理会計を若いうちに学ぶことは非常に意味のあることなのだ。これは「水泳を学ぶなら若いほうがいい」という事実に似ている。私はありとあらゆる早期教育に反対の人間だが、唯一の例外が水泳だ。幼稚園の段階でプールに入った子どもは、水に対する恐怖心を感じることなく泳ぎを思えることができる。泳ぎの下手な私は、小学校ですいすいクロールで泳ぐわが子が本当に羨ましかった。管理会計もそれと同じで、できるだけ早いうちに知っておいたほうがいい内容だ。若いうちにその思考回路を手に入れておけば、目に見えるモノの見え方がちがってくる。だから管理会計の勉強は早くはじめるに越したことはない。
さて、最後は次回に向けての宿題(笑)。
次回はハンバーガーのマクドナルド社を取り上げる。このマクドナルド、かつて定価210円だったハンバーガーを大幅に値下げして「100円バーガー」で売ったことがある。
ここで問題―――「マクドナルドは210円のハンバーガーを100円に値下げして、儲かったでしょうか?それとも損したでしょうか?」
そして増益であれ減益であれ、その理由・メカニズムは何なのか?
ぜひ次回の連載を読む前に考えてみて欲しい。そこには不況を生き抜くヒントが隠されている。そしてこの結果を読み解くカギが「管理会計」なのだ!
さあ次回をどうぞお楽しみに。