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2016年11月2日

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中西 享 (なかにし・とおる)

経済ジャーナリスト

1948年岡山県生まれ。72年共同通信社に入社。88年から91年までニューヨーク特派員、経済分野を取材し、編集委員を経て2010年に退社。現在は経済ジャーナリスト。著書は「ジャパンマネーの奔流―ニューヨーク・東京・ロンドンの24時間」(1987年、ダイヤモンド社)、「日本買い 外資は何を狙っているか」(2005年、PHP研究所)など。

成田の存在意義は?

 今回の羽田発ニューヨーク路線がスタートしたことで、国際線の成田から羽田へのシフトが一層進むのではないかともみられている。成田空港はいまだに大型機が離着陸できる主要滑走路が2本だけという変則的な空港になっている。2本目の滑走路の延伸と、3本目の滑走路建設については、計画はあるが工事着工のメドが立っていないのが現実だ。一方で、数年前からアジアの格安航空会社を積極的に誘致、専用のターミナルを設置するなどして格安航空の基地としては存在感を出している。

 このため成田空港はアジアから乗り継いでニューヨークに向かう乗客、国内空港から成田で乗り継いで海外に出る日本人客、少しでも安い運賃を望む団体客などにとっては乗り継ぎ空港としての意味はある。しかし、乗り継ぎ空港としての役割は果たせるものの、首都圏のビジネスマンにとっては羽田の国際線が充実すればするほど、成田は遠くて不便な空港になりそうだ。

 国交省航空局はあくまで羽田と成田の2空港は首都圏空港として一体的に整備、運用していくとしている。それぞれの特性を生かし、整備の優先度やウエート付けはしないという政策方針のようだ。しかし、将来へ向けての離発着枠をみると、成田の場合は周辺住民対策を考慮すると枠の大幅拡大は難しいのが現実のようだ。それに対して、羽田はいままで飛ばせなかった都心上空を離発着時に通過することや、新しい5本目の滑走路の建設も可能なため、さらに発着枠を拡大する余地がある。同省は東京オリンピックまでは、羽田、成田空港の運用改善により離発着枠を増やすことで何とか乗り切る考えだが、その後は、羽田と成田空港の位置づけについても再検討すべき時期が来そうだ。

  
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