習近平指導部のポピュリズムの正体
つまり、江沢民が「三つの大表」を打ち出し、資本家を党に迎え入れた衝撃の変化から再び態度を変えて、「持たざる者の党」へと、その立場を変えたのである。
それこそ習近平指導部のポピュリズムの正体である。
同時に中国は、一定の経済発展を遂げた後のさらなる突破口として「民主化」という幻想を捨て、党がけん引する経済発展を模索し始めている。
外には「一帯一路」、内には「5000万人の極貧層の引き上げ」である。
もちろん、「青春時代後の経済発展」がそう簡単に見つかるはずもないのだが、少なくともバブル崩壊などの調整期には、党を中心とした政治的な締め付けが不可欠だとの選択は、消去法により行きついた一つの結論なのだろう。
その意味で中国は、トランプが大統領として本当にラスト・ベルトの人々を幸せにできるのか、そんな手品があるのか否か、注視しているはずだ。
「アメリカに付いていった国はすべて豊かになった」と、鄧小平が語り、突き進んだ改革開放後の行き詰まりは、同じく中国にとっても深刻な問題であるからだ。
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