チャイナ・ウォッチャーの視点

2016年11月22日

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富坂 聰 (とみさか・さとし)

ジャーナリスト

1964年、愛知県生まれ。北京大学中文系に留学したのち、豊富な人脈を活かした中国のインサイドリポートを続ける。著書に『苛立つ中国』(文春文庫)、『中国という大難』(新潮社)、『中国官僚覆面座談会』(小学館)、『ルポ 中国「欲望大国」』(小学館新書)、『中国報道の「裏」を読め!』(講談社)、『平成海防論 国難は海からやってくる』(新潮社)、『中国の地下経済』(文春新書)、『チャイニーズ・パズル―地方から読み解く中国・習近平体制』(ウェッジ)などがある。

習近平指導部のポピュリズムの正体

 つまり、江沢民が「三つの大表」を打ち出し、資本家を党に迎え入れた衝撃の変化から再び態度を変えて、「持たざる者の党」へと、その立場を変えたのである。

 それこそ習近平指導部のポピュリズムの正体である。

 同時に中国は、一定の経済発展を遂げた後のさらなる突破口として「民主化」という幻想を捨て、党がけん引する経済発展を模索し始めている。

 外には「一帯一路」、内には「5000万人の極貧層の引き上げ」である。

 もちろん、「青春時代後の経済発展」がそう簡単に見つかるはずもないのだが、少なくともバブル崩壊などの調整期には、党を中心とした政治的な締め付けが不可欠だとの選択は、消去法により行きついた一つの結論なのだろう。

 その意味で中国は、トランプが大統領として本当にラスト・ベルトの人々を幸せにできるのか、そんな手品があるのか否か、注視しているはずだ。

 「アメリカに付いていった国はすべて豊かになった」と、鄧小平が語り、突き進んだ改革開放後の行き詰まりは、同じく中国にとっても深刻な問題であるからだ。

  
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