ドローン・ジャーナリズム

2016年11月27日

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向上していく安全性と安定性

 このドローンには空撮用のメインのカメラとは別に前方向と下方向にそれぞれ2つ(ステレオカメラ)、計4つの障害物検知用のカメラが搭載されている。ステレオカメラとは、人間が左右の目の画角のズレを認識して空間の奥行きや被写体を立体的に捉えているのと同様に、2つのカメラで被写体との距離を計測している。このステレオカメラが障害物センサーの役割を果たしており、障害物を検知すると手前で自動停止したり、上方向に回避してドローンを帰還させることができるのだ。さらに下方向には超音波センサーも搭載されていて、機体と地面までの距離を正確に計測できるようになり、ステレオカメラとの組み合わせで、GPSが測位できない室内であっても床の模様を読み取ってその場にとどまり続ける(ホバリング)性能が格段に向上した。正確でブレのない機体であればあるほど、接触事故を防ぐ効果がある。

 

 空撮用のメインカメラが小型化されたことも、安全性と安定性の向上に寄与している。確かに大きい口径のレンズを有したカメラであればよりダイナミックな色調の映像を撮影することができるが、カメラが重たくなればそれを浮き上がらせ続けるだけの揚力と電源が必要になる。小型化することにより、カメラの重量も軽くなり、必要な飛び上がる力(ペイロード)が少なくて済むため、搭載されているモーターやバッテリーの小型化が実現した。機体を軽くすることができれば、飛行時間を延ばすことができ、その分余裕を持って安全にドローンを帰還させることができるようになる。また、墜落時の危害を低減させることができる。

 折りたたみ式のプロペラも安全性の向上に貢献している。これまでのドローンのプロペラは突き刺さり防止の観点から、人にぶつかった際わざと壊れるように設計することが多かった。しかしこの機体のプロペラは折りたたみ式で中央部分に関節があり、左右のブレードが脱力状態になっていてグニャリと折れ曲がるように設計されている。それゆえ、カバンにしまう時にはコンパクトに収納できるわけだが、モーターが回り出せば遠心力で自動的にまっすぐに広がる。例えば、誤って木の枝にドローンを接触させてしまった場合、これまではプロペラが破損して簡単に墜落してしまったが、この機体は木の枝にぶつかった衝撃を折れ曲がるプロペラが吸収し、いったん高度は下がるものの、いち早くバランスを取り戻して元の高度に復帰しようとする。つまり、すこしでも墜落を避けるように設計されているのである。人間と接触した場合も、無傷は避けられないかもしれないが、プロペラが曲がることでダメージを和らげてくれる。

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