ドローン・ジャーナリズム

2016年11月27日

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ドローンと人との共生

 2016年11月17日、姫路城の天守閣にドローンを衝突させた人物がいる。以前にも同様の事件があり問題となったが、姫路城のある姫路市の大部分は、下図をみてもわかるように、昨年12月に改正された航空法で「人口密集地域」に指定されていて、一般にはドローンの飛行は禁止されているエリアにあたる。また、第三者の人や建物から30メートル以上離して飛行させることが義務付けられている。ドローンが天守閣に衝突している時点でこの距離は保たれていなかったことが明白であり、この操縦者は二つの違反で罪に問われる可能性がある。(事前に国土交通省の許可・承認を得ている場合にはこの限りではない)

DJI ウェブサイト

 現在のドローンが普及していく過程とそのスピードは、かつてのインターネットやITが普及していったそれと似ている部分がある。しかし、今回の事故が物語るように、このままドローン飛行についてのルールやマナーを知らない操縦者が増えてしまうと、ドローンの衝突事故が絶えなくなり、社会がドローンを受け入れることができなくなってしまう。それを防ぐためには、まずドローンを操縦する者が、正しい操縦技術と最低限の法律知識を習得することが不可欠であるが、これは個々の操縦者に求められるスキルであって、システム全体から見たら一部だ。機体そのものの安全性を担保できなければ、真にドローンが社会に普及していくことはできない。

 紹介してきた新型ドローンの最も注目されるべき点は、ただ単に「小さくなった」「軽くなった」「女性でも手軽に扱える」という表面的なセールスポイントだけではないと考える。発展し続ける様々な技術や機能を削ぐことなく継承し、センサーで得られる安全性だけではなく、軽量化やプロペラ形状の変更など、機体そのものが内包するリスクを低減することによって高い安全性を獲得しつつある点だ。この姿勢がドローンを一部の専門的なユーザーだけのものにとどめるのではなく、一般ユーザーにまで普及させ、社会に浸透していくことにつながるのではないかと考えている。

 今後さらに機体の安全性を向上し続けることができれば、現在ドローンが持っている負のイメージが払拭され、人とドローンが共生し、スマホのように一人一台ドローンを持ち歩く時代が到来するかもしれない。またこの安全性を追求し続ける技術革新が、ほかの工業製品、例えば自動車や家電製品などへも応用され、最終的には科学技術の底上げや、人とロボットの共生する時代へのブレイクスルーになるのではないか。この製品を実際飛ばしてみて、そんな未来を予感した。

  
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