今ひとつの問題は、銀行の放漫経営がバブル時に生じやすい、ということです。「今期で退任する頭取が、自分の花道を飾るために、今期の決算のことだけを考えて赤字企業にも積極的に貸し込んだ」といった事例であれば、見せしめとして当該銀行を見殺しにすることで、他行が将来モラル・ハザードに陥る可能性を減らすことが出来るでしょう。しかし、バブルに踊った銀行を見殺しにするのは、事情が異なります。
バブルに踊った銀行
バブルに踊った銀行が苦境に陥るのは、バブルが崩壊した後です。ここで見せしめのために当該銀行を見殺しにしても、「次のバブルが発生した時にはバブルに踊るな」というメッセージにしかなりません。一方で、バブル期には、どの銀行も多かれ少なかれ「放漫経営」をしているでしょうから、金融機関の連鎖倒産が発生しやすく、「どこまで見殺しにして、どこから助けるのか」という線引も困難です。
結局、リーマン・ショックの時には、リーマン・ブラザーズだけを見殺しにして、他はすべて救済したわけですが、「そんな事なら、リーマン・ブラザーズも救済しておけば良かったのに」というのが、筆者の感想です。
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