2024年7月23日(火)

中島厚志が読み解く「激動の経済」

2009年2月20日

 

雇用を中心に、消費者の将来不安が高まっている。

 日本の消費者態度指数下落の内訳を見ると、「雇用環境」の悪化度合いが一番大きく、次いで「収入の増え方」の下落となっている。いずれもこの1月の数字は統計開始以来最低となっている。確かに、外需にばかり依存 して成長している日本経済では、主要輸出企業の減産や投資・雇用の抑制が景気減速に大きく効いてしまうことから、世界的な金融危機の深刻さを見れば、景気の先行きや雇用賃金への不安も高まらざるを得ない。

 しかし、だからといって足元の日本の消費マインドが金融危機の震源地となった米国と同じように記録的に落ち込まなくても良いようにも見える。というのは、 外需の落ち込みは大きくとも、いまのところ内需の落ち込みは限定的にとどまっているからであり、雇用情勢は全体として悪化しつつあるものの、医療・福祉、 情報通信、サービス業などでは雇用増と人手不足が続いているからである。現に、失業率は上昇しているが、いまのところ雇用者総数は横ばい状態が続いている。

必要な積極財政金融政策

 1929年の大恐慌後、景気悪化は税収減につながって主要国の財政収支を悪化させた。しかし、金本位制(金の価値を通貨価値の裏づけとする制度) が採用されていた当時では、均衡財政を維持しようとする考え方が普通で、景気が悪化しても、財政赤字を増やしてでも景気刺激策を採るとの考え方は乏しかっ た。むしろ、財政収支を均衡化させるために増税がなされたりしたのである。これでは景気が良くなるはずはない。また、スムート・ホーリー関税法に代表されるよう に、輸入増から自国産業を保護するために関税率が高められ、これも世界経済の縮小を一段と加速した。

 大恐慌時の教訓に照らすまでもないが、今回世界経済を早期に回復させるためには落ち込んだ需要の回復が何より重要である。財政赤字の拡大は懸念されるもの の、当面は主要各国が積極的な需要喚起策を採ることが求められる。幸い、主要国は巨額の景気対策を表明しており、09年の成長率下落を押し止めるものと期待される。


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