2024年12月22日(日)

伝える力・伝わる仕組みできてますか?

2017年5月30日

 皆さんは毎年健康診断を受けていますか? 私も先日人間ドッグに入り、全身チェックをしてきました。人一倍健康には気を使っているのですが、万が一のことがあってはということから、定期的に健康診断と身体のメンテナンスチェックを行っています。

 さて、人が健康診断で健康を数値化し、対策を判断するのと同じく、会社組織もその状態を定期的にチェックしていく必要があります。今回はなぜ会社組織の健康状態をチェックする必要があるのか。それにはどういったことが必要なのかについてお話していきます。

(iStock)

経営層から寄せられる相談は3パターンに分類される

 私は仕事柄、中小企業の経営者や人事担当者から組織に関するご相談をよく受けますが、大体3つのパターンに分類されます。

  1. 離職率が高いがどうしたらよいか。潜在的な要因を把握したい。
  2. 社員の能力を発揮させるにはどうしたらよいか。具体的な施策を考えるために何が必要なのか。
  3. 組織風土に関して社員はどう思っているのか?経営層との乖離はないか?把握したい。

 この3つの相談は、「過去に解決をしようとして上手くいかなかったから」という背景があります。

打ち手を打つ前に本当に必要なものは何か?

 なぜ上手くいかなかったのか。

・特定の人だけの意見で施策を決めた。声が大きい人、意見を言える人の要望が採用される形になるため、潜在的な課題は解決されない。

・社内アンケートを取って施策を決めた。社内のオリジナルアンケートは、社員からすると色々と勘ぐってしまい本音が書きにくいものです。そのため、当たり障りのないものや、本質と少しズレた意見が上がってきます。この状態では、せっかく実行に移しても効果が得られない。

・施策をトップダウンで進めた。本質を捉えた施策でも、社員側にやらされている感があると優先度が下がってしまい、スムーズな改善につながらない。

 それでは、どうすれば上手くいくのかを考えていきましょう。営業成績や業務負荷など、顕在化している課題は、取り組みやすく社員も動きやすいのですが、組織の課題は潜在的なものも多いため、まずはそれを上手く顕在化、「見える化」することが重要です。この一連の見える化実現に従業員意識調査が役に立つのです。

顕在化されていない問題点を可視化する

 従業員意識調査は、社員の見えない意識や、声なき声を収集し「見える化」することができます。健康診断と同じように、見える化した後は、行動も明確になります。

 従業員意識調査は、様々なサービスが市場に出ています。従業員1人1人からアンケートを取り、基本的には匿名のものが多いです。1人1人の結果ではなく、部署や課、チームや年代などでセグメントした複数人のグループで結果をデータ化し、グラフや数値で組織の意識状態を把握することができます。

 ハーズバーグの2要因理論に基づいた調査が多く、仕事内容、評価、成長機会という動機付け要因(満足の促進)と、会社方針、人間関係、労働条件という衛生要因(不満足の抑制)にてアンケートが設計されています。それらの項目に対して、重要度と満足度を計り組織の状態を分析するというサービスが大半になります。

 簡単に説明すると、仕事や会社の何に満足し、何に不満があるのかをデータ化できるということです。

 そのデータがあることで、組織経営に関する施策と、施策の優先度を検討することが可能になります。人の健康診断で「中性脂肪が多い、肝機能の低下が見られる」ということが分かれば、それに対する対策が見えてくるように、従業員意識調査で「もっとスキルアップしたい、研修に参加したい」ということが分かれば、打てる対策が見えてきます。

 従業員意識調査は、有効に活用すれば、働く方のモチベーションアップにも業績アップにもつながります。しかし、間違った使い方をすると逆効果になるため、注意点について知っておいていただきたいです。


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