2024年11月22日(金)

中島厚志が読み解く「激動の経済」

2010年7月15日

 さて、この観点から日本を見ると、今後の日本経済は必ずしも暗くない。参議院議員選挙を終えた日本では、財政健全化につながる消費税引き上げが国民の完全な支持を得ることができなかったように見える。当然、増税が成長に寄与する経済路線を掲げる菅首相の経済政策にも国民が納得したとは言えないということになる。しかし、これからの世界経済が、停滞する先進国経済を中国中心の新興国経済が支える方向となれば、中国の隣国日本にとってこれほど有り難いことはない。相応の人民元切り上げが続けばこれも日本の対中輸出にはプラスとなるし、人民元切り上げに合わせて韓国ウォンなども連れ高となれば申し分ない。

 現状では、世界経済の当面の展開に余り明るい話題がない。日本経済を見ても、これからエコカー減税の一部やエコポイントが終了し、景気の先行きもいままでほどには楽観的になれない。しかし、世界経済は暗いだけではない。各国とも経済成長を図ろうと躍起になっており、その余波が日本経済に及ぶ余地は十分にある。しかも、中国経済が大きく内需主導に動く可能性もある。日本経済のためにも、これから世界経済が厳しい岐路を上手く乗り越えることを大いに期待したい。


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