中国メディアは何を報じているか

2017年6月9日

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 農業に対する制限が厳しいのは、政府が汚染の主因が農業にあると判断しているからだ。5月20日の中央電子台の財経チャンネルでは、「経済半小時(経済30分)」という番組で「大理で洱海の保護戦争が火ぶたを切った(下)」として農業問題を取り上げた。「家畜の飼育、農村での生活と農業生産の三つによる汚染量が洱海全体の汚染負荷の70%ほどを占めており、この三つの面への対処が水質汚濁に対処するカギになる」としている。

 番組では農民の困惑ぶりや、地力の低下で近年、化学肥料と農薬の大量使用がなされていたこと、この1月にアオコが大発生したことが政府の危機感を高めたことなどを伝えている。地域の幹部の苦悩ぶりについても、大理市の鎮才村の中国共産党総支部委員会書記に密着して伝えている。

もの言う民

 農業の禁止に伴い78戸から農地を借りて1畝(ムー、1畝は666.7平方メートル)当たり2200元を支払う必要があるのだが、同意したのはわずかに8戸と伝えた後、農民の以下のような声も紹介している。

 「家人が多く、土地を貸し出してしまったら、我々は何を食べるというのか。1畝がわずかに2200元。受け入れようがない。最低限でも6000元、少なくて5000元だ」

 耕作を続けた場合の収入に比べ補償額が少なすぎるという指摘は、他媒体も伝えており、農民は犠牲を強いられている格好だ。番組は、大理市では土地の政府への貸し付けを13708.86畝で達成し、その達成率は83.2%。726頭の豚の飼育をやめさせ、水産物の養殖をやめる協議を1904.33畝分合意し、すでに1030.33畝を明け渡させたと成果を強調している。

 先の発言をした農民は、のちに書記の説得により強硬な態度を軟化させたと番組は伝える。とはいえ今回の七大行動で農業だけでなく観光業、建設業でも働き口がなくなっているだけに、生活の糧を奪われる側の必死さと行政側の対応の苦しさが否が応でも伝わってくる内容となっている。

 水環境への負荷が相対的に少ないとみられている観光業界からの現状への不満も盛んに伝えられている。広東省に拠点を置く南方メディアグループの経済誌「21世紀経済報道」では4月6日、「洱海の環境保護で千軒を超す旅館はどのような態度をとるか」と題し、周辺住民の話として以下のように伝えている。

 「洱海の上流には多くの浄水場がある。直接汚染を放出しているわけではないが、流れをせき止めて水を使うのは洱海の流動性を悪化させ、自浄能力を急速に低下させている。同時に、ゴルフ場と不動産開発のプロジェクトも洱海の生態環境に影響をもたらしている」

 続けて、政府の「洱海保護には皆責任がある」とするスローガンを引用したうえで、こう指摘する。

 「汚染源がこれほど多いのに、観光業の経営者が先に(規制の)対象とされたことに、民宿や観光業者は怒りが収まらない。政府がバランスを取って対処し、環境保護の工程の設計をおろそかにしないように彼らは希望している」

 財新メディアグループの週刊誌「財新週刊」は、5月8日号のカバーストーリーに洱海の保護活動を選んだ。そこに掲載された現地の写真がネット上に掲載されており、今の大理の置かれた状況が一目瞭然なのでぜひ見て頂きたい。

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