2024年4月20日(土)

中国メディアは何を報じているか

2017年9月14日

景気はいいが将来に期待せず

 「80後は家や車のローンを返さなければならず、一見、大変だ。しかし、彼らは少なくとも家と車を買えたわけだ。しかし、95後(1995~99年生まれ。のちほど解説)、00後(2000年代生まれ)は一生苦労をしても、北京、上海、広州、深センで家を買える人はまれだろう(筆者注:不動産価格が天文学的に高くなっているため)。今日、90後は最も挑戦的で可能性を持っているが、彼らの内心は未来に対して良い予測を持っていない」

 「90後の職業観はどう違うのか」という記事を3月1日、北京日報が掲載。「90後の大学生の理想主義的な傾向は鮮明だ。面白い現象として、学部卒で理想のために起業する比率が上昇し、お金のために創業する比率は下がっている」と伝える。

 中国で起業は爆発的な人気があり、一獲千金を狙う例も多いのだが、90後は起業するにも理想や、仕事の中で得られる楽しみを重視しているわけだ。

 ところで、一口に90後と言っても、10歳も年齢差があれば当然違いが出てくる。さらに細分化した言い方として95~99年生まれを指す「95後(ジウウーホウ)」という言葉が使われている。95後の特徴は、スマホが生活と切っても切れない存在になっていること。

 90後と95後の間の最も分かりやすい違いは、使っているSNSだ。90後が多く使うのは、Wechat、ウェイボー、QQの順になる。これに対して、95後が最もよく使うのはQQ。95後よりも上の世代では圧倒的にWechatが使われており、SNSの使用でも世代の壁がある。これは、中国でのSNSを使ったマーケティングを複雑にする一因でもある。

95後が理解できないと企業の未来ない

 「95後が理解できないと企業の未来はない」。アリババの前CEOの衛哲氏のこんなキャッチーなタイトルの発言録が「中欧商業評論」8月号に掲載されている。衛哲氏は「中国では5年を画すごとに一世代とすることができ、かつ一世代ごとに非常に明確な特徴がある。我々は常々、下の世代の消費者を得ることができれば勝てる、その主力消費層は95後だと言っている」とする。

 「85後は貯蓄する。90後は貯蓄しない。95後はお金を借りる。借金をして消費をする勇気のある世代というのは、事実上95後から始まっている」

 衛哲氏はこのほかにも、95後はモバイルインターネットのネイティブで、スマホとタブレットですべてがこと足り、企業のサービスに「使える」ことよりも「面白さ」を求める――などの特徴を紹介している。また、貧しかった経験がないだけに、財産に対する安心感がどの世代よりも強く、85後、90後よりもはるかに高いとしている。

 豊かさを享受し、それでいて楽しさや理想を重視する90後、95後。日本のさとり世代とも少々違う彼らの特性を理解することは、今後の中国と特にビジネスでうまく付き合う上で必須になる。

  
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