2024年12月22日(日)

中国メディアは何を報じているか

2017年8月10日

 KOLという言葉をご存じだろうか。“Key Opinion Leader”の略で、中国のSNS上で影響力の高いアカウントのことを指す。いわゆるインフルエンサーで、人気のあるKOLを商品のプロモーションにうまく利用すれば、大きな利益を上げることができる。中国でKOLはマーケティング上欠かせない存在となっており、中国のECサイトで商品を売りたい日本企業などの間では、KOLを使ったプロモーションが常識になっている。

iStock/Ildo Frazao

巨大な影響力でプロモーションの花形に

 KOLは芸能界のスターから庶民出身の人気者まで幅広く、数百万のフォロワーを擁する。多い場合は数千万人のフォロワーがいたりする彼らが商品を宣伝すれば、絶大な影響力を発揮する。そういうわけで、ヨーロッパの一流ブランドから中国市場に参入したい日本企業に至るまで、KOLを使ったプロモーションに積極的に取り組んでいる。KOLが旧来の広告のあり方を変える台風の目になっているのだ。

 KOLの活躍する分野は、最新のファッション、ライフスタイル、旅行などさまざまだ。フォロワーとの結びつきが強固で、KOLと価値観を共有していると考えるフォロワーは発信された情報を真剣に読み込む。そのため、フォロワーの興味関心に沿った商品のプロモーションが、絶大な威力を発揮しうるのだ。

 KOLは特定の人物の場合もあるが、頻繁に更新されるものは、グループで職業的に行っているものも多い。タオバオといったECサイト上に自らがセレクトした商品を売るショップを設けるKOLもいる。彼らがかかわる市場規模は、拡大の一途にある。

 フィナンシャルタイムズの中国語版は7月10日、「中国の『網紅(インターネット上のインフルエンサー)』のマーケティング力――中国ではファン経済の膨張により、“KOL”を巡り形成されたマーケティングの生態系が急成長している」という記事を掲載した。記事中で、その市場規模について「第一財経商業数拠中心(CBNData)は2016年のKOL産業の生産額は580億元(約9500億円)に達し、2015年の映画の興行収入を超えたと見積もった。Consultancy Analysisは来年の収入規模が1000億元(約1兆6千億円)に達すると予測している」と紹介している。

 その影響力の拡大ぶりを示すニュースに、モデル出身のKOLが6000万ドルを売り上げたというものがある。服飾に関する情報プラットフォームの世界服装靴帽網は7月20日、「中国の網紅が服飾品の売上額が6000万ドル(約66億円)を超え、服飾業界の注目の的に」という記事を掲載した。


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