1990年代生まれを指す「90後(ジウリンホウ)」という言葉をご存じだろうか。日本と同じく、就職戦線の最前列にいるのはこの世代。すでに社会である程度の地位を築きつつある80年代生まれの「80後(バーリンホウ)」に比べ、接点の少ない上の世代からすると、日本の「さとり世代」のようにつかみどころのなさを感じてしまう存在だ。
他の世代と価値観に差
彼らの特徴は、デジタルネイティブであること。そして、両親に経済力があり、消費力が高かったために、それ以前の中国人とは全く違った価値観を持っている。
中国新聞社旗下のメディアの中新経緯は8月27日、こんなタイトルの報道をした。IT企業に対する調査データから、5割近くのIT企業で90後の従業員が8割を超えていると伝える。IT企業のみならず、90年代後半生まれまで就職するようになった今、彼らが職場に与えるインパクトは大きくなる一方だとしたうえで、90後には独特の部分があり、経営者は準備が出てきているのかと問いかける。
記事中では90後とそれ以前の世代の職業観の違いの調査結果も紹介している。それによると、90後は仕事の中により楽しみを見出す傾向にあり、それ以前の世代が重視する同僚との関係をあまり重視していない。また、長時間の残業も理由があれば構わないと考える比率が90後より前の世代で1割だったのに対し、90後では3割で、残業への耐性があるという。
また、専門家の「90後より前の世代は『成功』を重視し、90後は『幸福』を重視する。成功の基本となるのは権力、財力、地位だが、幸福は楽しさと関係している」との分析も紹介している。
ところで、日本だと90後の世代は景気低迷期に生まれたわけだが、中国では改革開放後の高度成長期に当たる。そのため、親世代の生活水準は高く、加えて一人っ子のため、ほしいものは何でも手に入る家庭環境にある。
ところが、90後の幸福追求、趣味追求といった傾向は、日本の「さとり世代」に通じるものがある。日本の同世代に比べて経済的に裕福で、しかもまだバブルが崩壊したわけでもないのに、なぜ90後は日本の「さとり世代」的になっているのか。同じ専門家はこう解説する。