2022年9月26日(月)

ACADEMIC ANIMAL 知的探求者たち

2010年9月21日

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 基本的に、私たちが手がけるのはあくまで基礎研究の部分なので、そういう仕組みそのものよりも、情動がどういう性質を持っているのかということを研究するのが目的です。

 ジュウシマツの歌に文法があるように、情動にも文法があるだろうと思っています。情動にもいくつかの規則性がある。いい人と思われていた人が悪い人だと判明すると、実際より悪いように思われるとか、またはその逆とか。情動のオーバーシュート現象というものがあると思いますね。快と不快の系列。快が不快になるのと、不快が快になるときの違い。誰かに対して怒っているときというのは、どういう心の持ち方をすれば、怒りを客観的にみられるのか。そういうこともわかってくるんじゃないかと思います。

 そのために、まずは人が様々な感情を持ったときの脳活動を測る実験を進めているところです。人が対話しているときの表情や声の調子を記録して、それをなんとか符号化したい。人の心の状態というものを、表情や声の調子から推測できないかということです。もちろんそれだけでなく、脳波や皮膚抵抗とか発汗量とか心拍数も測りますが、いろいろなデータを測るのが目的ではなくて、感情の状態を推測するために必要なデータを集めています。

●「情動文法」を導きだすために、どんな実験をしているんですか?

岡ノ谷情動情報プロジェクトでの実験のひとつ。被験者(手前の男性)に人間のさまざまな表情を見せ、喜怒哀楽を1~6までの数値で評価してもらう。被験者の脳血流をfMRIによって測定し、人間の表情に対する主観的な評価を調査。

――まずは人が様々な感情を持ったときの脳活動を測る実験を進めています。たとえば、音と情動の関連は興味深いテーマ。短調と長調の音楽を聞いて人がどのように感じるか。人が陶酔しやすい音楽とはどういうものか。音と情動とのフィードバック関係を測るんです。

 研究室には、脳波を指標とした漢字の研究をしている人もいますよ。画面に「幸」「幸」「幸」……と漢字を表示していく途中で、「害」や「望」など、別の字をランダムに表示させます。このとき、「害」が出たときのほうが脳波の振幅が大きくなる。字の意味による違いが脳波で測れれば、情動に関する言葉の相対的な関係が見えてきます。

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