2024年11月22日(金)

中国人観光客はいま

2017年10月10日

――なるほど。おもしろいですね。ほかに中国人客ならではの旅行の特徴はあるのでしょうか?

蘇氏:たとえば、ヨーロッパの方々は旅行する際、まず航空券を先に予約し、ホテルは現地に着いてから探すことが多いようです。しかし、中国人客の場合、まず航空券よりも先にホテルを予約します。ホテルが取れなかったらどうしよう……という不安が常にあるからです。ホテルを先に予約し、確保できてから航空券を予約します。先に旅行のスケジュールをすべて作ってしまうのですね。ヨーロッパの方々は泊まったホテルがよかったら、延泊するなど自由気ままなところもよくあるのですが、中国人はまだあまりそういう行動はしていないですね。

 しかし、地方に行く場合は少し違います。地方では「ここに泊まりたい」というよりも、まず、やりたいことがあります。たとえば佐賀県を例に取ると、佐賀牛を食べたい、という明確な動機が最初にあります。それが第一で、佐賀に行って、佐賀牛が食べられるところを探して、そのあとで宿泊先を決めます。ですので、私たちもその行動を予測して、佐賀牛に関連する有効なクーポンをつけるようにしています。

――具体的にはどのようにやっているのですか。

蘇氏:今年2月にはJNTO(日本政府観光局)と組んで九州特集をしました。サイトでは単にホテルや旅館の紹介をするだけでなく、バナー広告をつけたり、いろいろな地域の特色、食べ物なども同時に紹介しました。おススメの観光や付加価値の高い情報をセットにして見せることで、サイトを訪れた人も「この都市にこういうおもしろいところがあるなら、行ったついでに〇〇を体験したい」という具体的なプランが作れますし、個人客の参考になると思います。

――ホテルや航空券の予約はすべてサイト上で行えるのですか?

蘇氏:そうです。シートリップのホームページ(予約サイト)、ウィーチャット、アプリ、コールセンターの4つから、ホテル、航空券、ビザ、送迎、レンタカー、入場券、レストランの予約まで、旅行に出発する前から帰るときまで、すべてワンストップでできるのが特徴であり強みです。

9月に同社と中国CCTV関連企業が共同で行ったイベントの様子

――日本の地方自治体にとっても地域の活性化につながり、とてもありがたい話だと思いますが、地方によっては予算がないとか、どうやってインバウンドに取り組んだらよいのかわからない、どこに問い合わせたらいいのか、という声も耳にします。

蘇氏:予算がなくても、できることはたくさんあります。たとえば、ある旅館がもっとインバウンドをやりたいと思っても、自分たちだけでは何もできない、中国語のサイトも作れない、中国語もできない、と不安に思っているかもしれません。でも、地方自治体やそこの観光局、旅館組合などと一緒に集まってくれたら、私たちはそこに出向き、どのようにしたら、そこの魅力を引き出して中国人の観光客にアピールできるか、いっしょに相談することができます。

 インバウンド用の予算が取れなくてもかまいません。無料の宿泊券を出してもらったり、食事や観光施設の割引券などを提供していただけたら、体験コースとしてお客様に宣伝することができ、まず、そこからプロモーションの第一歩を始められます。特集ページもこちらで作り、ウィーチャットやウェイボーなどを通して、中国人に宣伝することができます。

――そういう方法があるのですね。まずは地域で連携して、アクションを起こすことが大事ですね。

蘇氏:ぜひ、行動に移していただきたいと思います。日本企業の場合、過去に成功事例がないとなかなか動けないという面があるかもしれませんが、私たちはチャレンジしたら、その半分はうまくいく、と前向きに考えて取り組んでいます。シートリップのお客様の70%が個人客で、彼らも貪欲に日本の情報を求めています。日本の地方には、まだまだ魅力的なところがありますが、私たちも隅々までカバーできません。ぜひ、「こんないいところがある」と声を掛けて、教えていただけたらと思います。

――最後に、私も中国に行くときには、国内線の航空券や鉄道の予約を御社のサイトで行っているのですが、日本語でも見られるんですね。

蘇氏:そうです。今、力を入れているのは日本語版、中国語の繁体字版(台湾・香港)、韓国語版のサイトの充実です。よく勘違いされるのですが、シートリップは中国国内の中国人のためだけのものではありません。世界中の旅行に関して対応できます。現在、かなり多くの韓国や香港のお客様がシートリップを使って、日本のホテル予約をしています。今後、日本人のお客様をもっと増やしたいと考えており、日本人が中国だけではなく、中国以外の国に行く際にも、利用していただきたいと思っています。そのためにも、ますますそれぞれの多言語サイトの充実を図っていき、日本企業や観光施設などとも連携していけたらと思っています。

  
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