2024年12月14日(土)

中国人観光客はいま

2017年10月10日

 連載2回目は中国では圧倒的支持を得ている旅行会社。出張や旅行など、国内外に出ていく機会が増えた中国人にとって身近な存在だ。

Ctrip International Travel Japan(シートリップ・インターナショナル・トラベル・ジャパン)代表取締役社長  蘇俊達氏

――シートリップは中国を代表する大手の旅行会社ですね。

蘇氏:はい。中国にもたくさんの旅行会社がありますが、弊社は1999年に中国・上海で設立されたオンライン専門の旅行会社で、中国のオンライン旅行サイトとしては首位、世界でもトップ3の規模となっており、ホテル、鉄道、航空券など旅行に関するさまざまな商品を取り扱っています。中国語では「携程旅行網」とも呼ばれており、従業員は3万人に上ります。

 2015年に中国で有名な旅行サイトである「去哪儿」と「艺龍」がシートリップファミリーとなり、中国でのホテル予約の実に75%近くが弊社経由となりました。

 日本には2014年に進出しました。現在、日本には、私が代表を務め、ホテルなどの仕入れをするシートリップ・インターナショナル・トラベル・ジャパンのほか、中国からのパッケージツアーを担当するシートリップ・ジャパン、エアチケットなどを販売するシートリップ・エア・チケッティング・ジャパンの3社があります。

上海にあるシートリップ本社

――蘇さんが社長を務めるインターナショナルでは主にホテル関係の業務をしているのですね。

蘇氏:現在、東京、大阪、札幌、沖縄、名古屋と福岡の6カ所に支社があり、ホームページ上などでホテルの客室を販売しています。中国からの団体旅行が減ってきていますが、訪日観光客が減少しているわけではなく、むしろ個人旅行客を中心に増加しています。個人旅行客はマルチビザを持っている人が多く、彼らの行き先は地方へと分散している傾向にあります。ですので、私たちも地方のホテルや旅館との提携を拡大しているところです。

――私の以前の取材では、個人客は団体客が行くところを避ける傾向がある、と感じました。

蘇氏:そうですね。団体客がいるところは、どうしても混雑し、騒々しくなりがちですので、個人客、とくに富裕層の人々はそうした場所を避けていると思います。北京や上海など沿海部の方々はすでに団体旅行で行くような定番コースには何度も行っていますし。日本ではまず団体旅行があり、そのあと個人が増えていく、という段階的なイメージを持っている方が多いかもしれませんが、中国人観光客の場合は少し違います。

 団体旅行から個人旅行への移行スピードが速く、個人客が旅行のトレンドを作っています。個人客が新たに見つけて訪れた場所の人気が出て、そこに後から団体客がついて行く、という流れになります。情報に敏感で洗練された個人客が「行ってよかった」と思った場所や食べ物などをSNSなどで発信し、その情報が拡散して団体客もそこに行ってみたい、ということがよくあります。ですので、日本的な発想とは少し違いますね。


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