2024年4月26日(金)

田部康喜のTV読本

2017年11月8日

 うなされながら吾郎は目を覚ます。

 2017年12月24日。妻の晴海(乙葉)が、部屋を駆けまわる息子の勇介(前田虎徹)。吾郎は「サンタさんへのプレゼントは決まったか?」と尋ねると、勇介は自分で書いた紙を手渡す。「7時には帰ってくるから」。

 吾郎は、「サンデー・ジャポン」の出演のために、運転手つきの乗用車でTBSに向かうのだった。隣には、数カ月前から秘書になった、「先生」ことふたば(満島)がすわっている。

 夢のなかで体験したような事実が、現実になる。いいかたを変えるならば、現実が別の視点からいく様にも眺められる。

 世界的にヒットした英国BBC制作の「SHERLOCK(シャーロック)」のなかで、多用された。

パロディーとギャグをどれだけ発見できるか

 カヨ(小泉)たちは、吾郎の息子の勇介を誘拐する計画を進める。吾郎と妻の晴海、勇介の行動を競技用自転車で追う役割がカヨである。スマートフォンを使って、追跡の様子を逐一報告する。

 吾郎に先回りして、自転車でTBSに乗りつけたカヨは4階の楽屋に滑りこむ。エレベーターホールで、TBSのゆるキャラと衝突してころばせてしまう。「シャーロック」において、ホームズがビルから飛び降りて自殺を偽装した際に、ワトソンが自転車に衝突されたうえに催眠術をかけられるシーンのパロディーである。

 クドカンのギャグは、細かなところまで忍ばされている。カヨは自転車のヘルメットやユニフォームを脱ぎ捨てて、千夏(菅野)のメイキャップ担当になる。

 「これなによ、杉村太蔵って書いてある」という千夏に怒鳴られて、カヨが手に取ったクリームは「テリー伊藤」と書いてあった。

 「あまちゃん」のなかで、主人公アキ(のん)の祖母夏(宮本信子)は、橋幸夫のファンという設定である。いつも飲む酒の瓶に「幸夫」のラベルがあった。

 吾郎の息子の勇介を誘拐することに成功した、カヨたちは次に吾郎本人に罠をかけて誘拐する。「先生」ことふたば(満島)は伸縮式警棒で吾郎を殴りつけ、気絶させる。

 吾郎が気づいたときには、サンタクロースのかっこうをさせられて椅子にしばりつけられていた。

 カヨたちは吾郎に尋問する。「姫」の冤罪を晴らすために。婚約者の乳業メーカーのしのぶ(夏帆)は、吾郎が沖縄で撮影したヨットのうえで爆笑するビデオを、事件後にテレビで繰り返し流されたために「爆笑ヨーグルト姫事件」の犯人といわれるようになった。

 勇介を解放して、警視庁の前でタブレット端末にひらがなで浮かび上がった文章を読み続ける。

 「我々は6年前の爆笑ヨーグルト姫事件の裁判のやり直しを要求します」

 ドラマがどのような展開をみせるのか。そればかりではなく、クドカンのパロディーとギャグをどれだけ発見できるか、楽しみである。

  
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