一方、ヒックとドラゴンは、今年最高かと思うくらいに素晴らしい物語で、子どもだけではなく、大人もみて感動できる傑作だ。
3D表現に関しては、劇中のドラゴンに乗って飛翔する爽快感は素晴らしいのだが、全体としてはむしろ控えめというか、物語のすばらしさと渾然となって、あまり3D映画だということを感じなかった。上映方式がiMAX3Dならまた感想は違うかもしれないが、3D表現は控えめに感じた。ただ、物語と表現がうまく融合しているという点で、かなり完成度の高い作品と言えると思う。
『バイオハザードⅣ アフターライフ』は、『アバター』で使われたのとおなじ3Dカメラで撮影された実写映画。
バイオハザードのシリーズはゲーム原作のゾンビものというつもりで見ると、なかなか楽しい作品で、4まで作られただけのことはある。4になって、さすがによれっとした感じもあるのだが、だらだらツッコミを入れながら見るには楽しい作品だ。
『アリス・イン・ワンダーランド』では何カ所かに見られた、絵が動かないとぺらぺらの平面に見える現象も、冒頭の一部にほんの少しあったけれど、主要キャラクターの回りに粉雪が舞ったりすることで、空気感のようなものが表現されるといった面白い表現もある。
『アリス・イン・ワンダーランド』や『バイオハザード』のように、実写の人物が出てくる映画では、今のところ3D表現は抑えたほうが、映画として楽しめるようだ。カットの切り替えや、カメラの移動などの、2D映画で培われてきた表現を、全く同じのまま3Dで使うと、かえって映画の世界から「目が醒めて」しまいやすいと感じるからだ。ただ、これも今後のクリエーターたちの新しい表現を創りだそうとする数々の努力によって、自ずと変わっていくだろうと思う。
ただ、少し気がかりなこともある。
3D映画は、今のところ普通の映画よりも高額に設定がされていて、しかも日本ではシネコンなどで行われている会員割引サービスの適用もされないようだ。
自分では見ていないので断定は避けたいが、日本もこども向け映画に3D化されるものがあって、それがアメリカのように表現についてあまり考えていない、過去の失敗を招いた、こけおどし的な3D表現で、見ていて気持ち悪くなるものが作られているらしい。こういう粗製濫造が事実なら、残念な事だと思う。
3Dテレビに明日はあるか
ところで、家庭用の3Dテレビは、メーカー側の意気込みとは裏腹に、あまり成功していないようだ。この結果を予想できた人は、少なくなかったろう。
メーカーは、安売り競争しかできなくなっているテレビに新たな付加価値をつけ、高額商品化したいという思惑で3Dテレビを開発したのだろう。企業としては、アメリカで勃興している3D映画を、家庭用テレビで見られるようにすれば、商品価値が高められるはずと考えるのも、まあ無理もない。
しかし、ユーザーの立場からすると、テレビが3D化しても、それほど魅力を感じないと思う。とくに、実物を見てしまった後では。