2010年は、空前の3Dブーム。映画「アバター」のヒットもあったし、テレビメーカーの熾烈な商戦も 続いている。近々、映像は立体が当たり前、という時代がまもなくやってくるかもしれない。
今回は、この3D技術を取り上げ、その歴史や、支えている科学をわかりやすく解説するとともに、ブームの現状と今後の可能性を考える。
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ところで、一口に3D映画といっても、投影方式にいくつかの種類がある。「XpanD」「RealD」「Dolby3D」「IMAX3D(デジタル)」など、どれも3Dメガネをかけてみるのだが、メガネの重さやスクリーンの明るさなどに差があって、同じ作品を見ても映像体験はかなり違ってくるようだ。
それぞれの投影法については、ネットを探せばいくつかレビューしてくれているところがあって、たとえば
http://itsa.blog.so-net.ne.jp/2010-01-15
がある。
すでに『アバター』をご覧になった方も多いだろうが、これはiMAX3Dシアターで見るべき作品だ。それもなるべく前の席、中央付近で、両眼視差や両眼輻輳の効果が最も強く得られる場所をお奨めしたい。
iMAX3Dで見る『アバター』は、やはり他の3D映画とは、一線を画している。
見晴らしの良い場所に出かけて景色を眺めるとき、自ずと首を動かしてあちこち見ると思う。iMAX3D版の『アバター』は、まさにそうやって画面を見まわしてしまうくらい、画面に奥行きや広がり感がある。
『アバター』は、3D映画という、全く新しい表現の世界が、今まさに産まれつつあるのだなあと強く感じさせる作品だった。
普段はあまり意識しないと思うけれど、映画とテレビは、同じような表現のようでいて、実はかなり違う部分がある。そのため、片方で作った映像が、もう片方ではあまり効果的でないことがある。
たとえば、映画館ではロングショットで撮影した小さな人の表情もよくわかって、それが効果的な場面として使われることも多い。
しかし、これをテレビで見ると表情がつぶれて、映画ほど印象的なシーンにならない。ハイビジョンでかなり改善されてはいるけれど、やはり映画館でなければ、あそこまでの感覚は得られない作品は多い。
あるいは、少し古いが『ロボコップ』は、ビデオ売りを前提に撮られた初期の映画で、小さなテレビ画面用の絵作りがされていた。
おそらく、まだ表現がこなれていなかったのだろう、これを映画館で見た時は、登場人物のバストアップの映像が多用されるので、大きなスクリーンでは目が疲れる感じがあった。