第3四半期の売り上げは29億8500万ドル(3400億円)となり前期比7%増加したが、損失は6億1900万ドル(700億円)となり、過去最悪を記録した。一株当たり損失額は2.92ドルとなり、アナリストの予想を上回った。
業績発表前の10月13日にはテスラが従業員を解雇したとの報道があった。テスラは従業員の業績評価に基づき低評価の従業員を解雇したと発表したが、解雇した従業員数を含め詳細を発表しなかったため憶測を呼んだ。地元紙は400名から700名が解雇されたと報道した。この報道前に356ドルだったテスラの株価は報道後じりじり値を下げていたが、四半期決算の発表を受け11月1日始値332.25ドルだったテスラの株価は、2日の終値では300ドルを割り込み299.26ドルまで10%下落した。10月中旬からの3週間では下落幅は約20%だ。
テスラの時価総額はGMを超えていたが(『覇権を狙う中国が仕掛けたEVと電池戦、トヨタ連合の敵はテスラだけではない』http://wedge.ismedia.jp/articles/-/10357)、11月10日現在のテスラの時価総額は509億ドル(5兆7500億円)、GMは606億ドル(6兆8500億円)と再度逆転された。
テスラ社債はジャンク・ボンドに
米国ではスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)のような格付け機関が企業の社債などのリスクを評価し格付けを行う。評価が低い社債の市場は100年以上前から存在していたが、1970年代になり、後に証券詐欺罪などで有罪になるマイケル・ミルケンが、評価が低い社債の発行企業が破綻する比率はそう高くないことに注目し、格付けは低いが利率が高いジャンク・ボンド(くず社債)の大規模な市場を作り出し、資金調達に際しジャンク・ボンドの利用が大々的に行われるようになった。ジャンク・ボンドはS&Pの格付けではBB+(最上位AAAから11番目)以下の社債に相当する。
テスラは増資と転換社債(将来株式に転換可能な社債)により資金調達を行っていたが、今年8月に初めて普通社債を発行した。その格付けはBであり、ジャンク・ボンドとしても上から5番目という低さだった。当初は15億ドルの発行が計画されたが、最終的には、利率年5.3%、償還期間8年の条件で18億ドル(2000億円)が発行された。利率が高い社債の発行を行ったのは、増資と転換社債による資金調達が難しくなってきたからだ。
その社債の取引価格は、発行直後に額面を割り込んだが、11月10日の価格は、額面1ドルに対し93.81セントまで落ち込んでいる。社債が償還不能になるリスクが高まっていると投資家が考えているということだ。リスクが高まっている原因は、収益を生めず、必要資金を外部に頼っているテスラの財務状態にある。2017年の資金の流れは図の通りであり、外部資金に頼り、それを垂れ流している状態だ。
外部資金の調達にもそろそろ限度が見えているようなので、モデル3の生産が軌道に乗り、販売が順調に進まない限り、資金繰りが苦しくなる可能性があるが、米国内の販売にも暗雲が立ち込めてきた。