11月16日、テスラがついにかねてからの噂だった「テスラ・セミトラック」の発表イベントを開催した。本来10月に発表が行われるはずだったが、マスク氏が「(量産型EVである)モデル3の生産、ハリケーンで被害にあったプエルトリコへの電池供給などで忙しい」として引き延ばしにされていたものだ。
発表当日にはマスク氏が自身のTwitterで「ロボットにも変身できるしエイリアンとも戦えるしカフェラッテを淹れることもできる」とつぶやくなど、「これまでの常識を覆す全く新しい発想」とマスク氏が主張し続けたトラックの登場に大きな注目が集まった。
発表会見ではトラック開発チーフであるジェローム・ジュリアン氏がまず登場、未来的なデザインのEVトラックがついにベールを脱いだ。トラックの運転席から登場したイーロン・マスク氏がトラックのスペックについて説明。
それによると、トラックは停車状態から時速100キロ達成がわずか5秒、最大の積載量でも20秒しか狩らない、という。また5度の勾配がある坂道でも時速100キロ超で走行できる。ちなみにディーゼルトラックは70キロ程度だ。
しかも、1回の充電での走行可能距離は500マイル(約800キロ)に達する。つまりロサンゼルスからサンフランシスコ程度の距離ならば、途中の充電を必要とせずに走りきることができるのだ。
米国のように国土の広い国では、物流の中心を占めるのは大型のコンテナトラックだ。米国全体でこうしたトラックが車全体に占める割合は20%程度だが、車の排気ガス総量にトラック排気が占める割合は60%とも言われる。つまりトラックがEVになることで大気汚染はかなり防げることになる。
米国では今、このEVトラックの開発競争が始まりつつある。最初に「完全EVのトラック」を発表したのはカリフォルニア州の「Chanje」というベンチャー企業だ。ChanjeはもちろんChangeをもじったもので、EVトラックにより現在の状況を変革しよう、というネーミングだ。
ただしChanjeが製作したのはテスラのセミのような大型ではなく、デリバリーなどに使用されるミドルサイズのもの。こちらは継続走行距離が200マイル以下(約300キロ)ながら、宅配を念頭に置いて作られているため十分な能力、とも言える。
こうしたトラックにはすでに大きな需要がある。例えば米宅配大手のUPSはニューヨーク州のエネルギー研究開発公社(NYSERDA)と提携し、同州内での配達トラックを現行のディーゼルから全てEVに切り替える計画を発表した。まず2018年に導入モデルを決定し、2022年には1500台のトラックをEVに切り替える、という。