この鉄道駅、レンタカー施設から空港までは、およそ50億ドルをかけた「ピープル・ムーバー」が建設予定だが、これは無人のモノレールのようなものが導入される予定だ。停車駅は全部で5カ所、メトロ駅との乗り換えポイント、レンタカーなどの施設、そして空港ターミナル内に東、中央、西の3つの駅となる。LAXに到着してからレンタカーを借りよう、という人はこの新しい乗り物で複合レンタカー施設に向かい、そこでレンタカーを借り出すことが出来る。返却も同様に、施設で返してストレスなく空港に向かうことが出来る。
完成すればLAXの渋滞緩和に大きく貢献しそうだが、こちらも利用可能となるのは2023年の予定だ。まず来年4月に公式に入札が始まり、建設会社が決定するのは来年後半。そこから建設、そしてレンタカー会社の移転、同時にピープル・ムーバーの建設も行われる。
魅力的なプランである一方、現在空港近辺に点在しているレンタカー会社の跡地はどうなるのか、また複合施設になると新規のレンタカー会社の参入が難しくなるのではないか、という問題点もある。もし複合施設の利用料が高ければ施設利用料としてユーザー側のレンタカー料金に跳ね返るかもしれない。実際同じようにレンタカー施設をまとめてモノレールを走らせているサンフランシスコでは通常のレンタカー料金に加え「空港施設利用料」が加算されている。
しかし空港に車で乗り入れるとほぼ15分おきに巡回してくるレンタカー会社のバスの多さには驚くし、それが一般車両の通行を阻害しているのは明らかだ。ピープル・ムーバーを設置するならホテルの送迎バス、空港近辺の短期駐車場の送迎バスも含めて空港の外側で乗降車するシステムにすれば、かなりこうした渋滞は解消されることになる。
2028年ロサンゼルス五輪
ロサンゼルス市は2028年のオリンピックの開催地に決まった。玄関口としての空港整備が現在急ピッチで進められている。利用者にとって使いやすいスマートな空港になるのかどうかは、この計画の成功に関わってくる。ただし当初のピープル・ムーバーの予算は30億ドル、とされていたが2016年には40億ドルに上方修正され、現在では50億ドル、となっている。こちらは入札もまだ行われておらず、同様に予算が年々膨らむカリフォルニア州の高速鉄道計画のように「杜撰」という批判もある。果たして2023年に完成は可能なのだろうか。
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