米中経済は緊密に
トランプ大統領就任後の米中関係については「大統領選挙期間中は中国の悪口を言っていたが、就任後は実務志向で非常に良い関係を構築することができている。米中首脳会談は大成功だった。
前任のオバマ大統領は人権や民主主義で批判を繰り返して平等な付き合いをしてくれなかったが、トランプ大統領は、ディール(取引)を重んじて、中国を対等なパートナーとみなしてくれた。
今年になって3回の首脳会談、9回の電話会談をしたのはこれまでにないことだ。北朝鮮問題では北朝鮮の非核化を諦めることはできないことと、最終的な解決は、軍事力ではなく対話でしかできないことが、米中首脳の共通認識となっている」と指摘した。
米中の経済関係は「今回の首脳会談では当初の予想の倍以上の規模の2500億ドルもの投資、経済協力協定が結ばれたことで、安定的な関係さえあれば大きく発展しそうだ」と述べ、今回の首脳会談を通じてトランプ政権と習近平国家主席は緊密な関係を築けたとの認識を示した。
インド、太平洋構想に疑問符
日本と米国が提唱しているインド太平洋構想については「その構想は自由で開かれた協力体制であれば中国は支持する。中国が目指している『一帯一路』は自由で開かれた協力体制だ。しかし、インド太平洋構想の背後に冷戦時代にあったような、地政学的な駆け引きのある戦略的な関係を構築するものであれば、中国は非常に警戒するだろう。安倍首相がそういうモチベーションを持っているのかどうかわからないが、もしそうであればうまく行かないと思う。(構想に含まれている)オーストラリアは中国との経済関係に腐心しているし、日本が期待するような海上の紛争で、構想に入った国が中国と立ち向かうか疑問だ」と述べた。
インド太平洋戦略は昨年8月、ケニアで開かれたアフリカ開発会議の基調演説で安倍首相が初めて打ち出したもので、港湾整備や投資を通じて安全保障面で影響力拡大を図ろうという狙いがある。日米両政府はこの構想を実現させるため11月7日に覚書を交わし、米国、日本が中心となってインド太平洋地域でのインフラ整備プロジェクトを協力して行う。習国家主席が中国の経済政策の柱として掲げる現代版シルクロード構想「一帯一路」に対抗するものとも受け止められている。
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