2024年11月22日(金)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2018年2月2日

解体決定のチームの一部がそのまま起業

 清華大学のすぐ南に位置する中関村智造大街の一角に入居する北京神州泰科科技有限公司。プロトタイプの制作や、製品の性能や耐性のテストなど、周辺のスタートアップや企業から依頼があれば何でも行うメイカーだ。もともとノキアの携帯事業にいたチームが母体になっている。携帯事業がマイクロソフトに売却され、チーム解体の憂き目にあい、一部メンバーがそのまま起業した。

中関村智造大街。一番奥の建物に北京神州泰科科技有限公司が入居している

 300平方メートルほどの敷地に、3Dプリンタやマシニングセンタ(多数の工具を自動で着脱し、各種の切削加工を行う機械)などの機器が所狭しと並べられている。訪れたときはほとんどのマシンが稼働中で、高い機械音が響き渡っていた。機械はノキアから安く払い下げられたり、中古品を購入したものだという。

 社員は20人ほどで、プロトタイプの制作は早ければ依頼から2、3日でできる。製造業が弱いとされる北京で、イノベーションとハードウェアを結び付ける場として作られた智造大街で、同社はなくてはならない存在になっている。

 以上みてきたように、起業の理由は千差万別。中国では何かの変化に直面した時、「起業」という選択肢が日本の比にならない身近さにある。多様な人材が流入し、起業ブームを厚みのあるものにしているのだ。

  
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