11月2日から一週間ランカウイ島に滞在。ランカウイ島はタイ国境に近いマレーシアの著名リゾートである。ランカウイのメインストリートは各国からのリゾート客で溢れている。なかでも目立つのが中東イスラム圏の人々である。
特にイスラム圏の女性はチャドルやヘジャブと呼ばれる衣装で顔や体を覆っているので一目で分かる。多数のイスラム圏の女性が歩いているショッピングセンターやプロムナードは、まるでドバイなどの中東の都市のようである。
マレーシアは人口の60%以上がイスラム教徒であるから、当然イスラム教の教えに従って処理されたハラル認証を受けたマトン、ビーフ、チキンなどの安全なハラル・ミートが豊富である。肉類だけでなく調味料や食材にも、豚肉やアルコールを含んでいないと証明されたハラル認証が付いているので、イスラム教徒観光客は安心である。
ランカウイのリゾート開発は、マレーシア政府も後押ししてイスラム圏の観光客誘致を目指して進められたという。ショッピング・モールの両替センターの交換レート掲示板を見て納得した。米ドル、カナダドル、豪州ドル、ユーロ、円、中国元、韓国ウオン以外に、サウジリアル、ヨルダンディナール、UAEデュラハム、カタールリアルなど中東通貨が並んでいるのである。さらに実際に交換しているのか不明であるが、なんとシリア・ポンドも表示されていた。
ペトロナス・ツイン・タワー
11月13日。クアラルンプール(KL)のランドマークであるペトロナス・タワー見物にでかけた。ペトロナスとはマレーシア国営石油の略称でありブランド名でもある。30年以上も前にペトロナスの変哲もないコンクリートの本社ビルを訪問したことをふと思い出した。何の目的で訪問したのか全く記憶に残っていない。寂しいが仕事の記憶というのはその程度のものなのだろうか。
日本企業の中国人社員
ペトロナス・タワーの裏には大きな公園があり三々五々と観光客や市民が散歩している。3人連れの男女の若者が歩いてきた。いきなり英語で「調査活動をしています。小学生の子供の教育で何を一番重視しますか」と聞いてきた。
適当に回答してからどんな目的で調査しているのか聞くと、3人は日本の大手生命保険会社の社員であり、グローバル人材育成プログラムの一環で調査活動しているという。男子と1人の女子は日本人だが、もう1人の女子はハルビン出身の中国人だった。彼女は早稲田大学法科大学院を卒業して国際職社員として就職したという。
中国女子は好奇心旺盛で質問攻めにあった。3人の会話への参加率を比較すると中国女子>日本女子>日本男子という明確かつ大きな差があった。
日本企業でキャリアを積みたいという彼女を応援したいと思った。ふっと13年前に大手メーカー勤務時代に新入社員として配属されてきた香港出身の楊君を思い出した。
彼は英国名門高校卒業、米国アイビーリーグ卒という経歴であった。楊君は英語・広東語・中国語が流暢なのは当然として、日本語も会議で意見を表明できるレベル。性格明朗で優秀な楊君は国際部門の幹部候補生として周囲は期待していたが、2年も経たずに退社。
彼と同期入社の外国籍社員は4人いたが、全員3年以内に去って行った。私が在籍した商社でも外国籍社員は定着しなかった。残念ながらやはり日本企業で国際人材を育てるのは難しいのだろうか。