2024年11月22日(金)

ちょっと寄り道うまいもの

2011年2月25日

下はしょう油入れ「ひょうちゃん」

 崎陽軒のシウマイを食べると、いつもほっとしつつ考えさせられることがある。

 定番とは何だろうということだ。

 あるいは、何が定番となるのか。

 「流行に左右されず安定した需要のある商品。商品番号(品番)が定められていることからこう呼ぶ」

 『広辞苑』にはそのような記述があった。衣料品の「定番」から、その言い方が広まったらしいのだが、食べ物についても定番といえるようなものがあるし、崎陽軒のシウマイ弁当が駅弁の定番であることは、誰もが認めるだろう。特に首都圏の人間にとっては定番中の定番だ。

 工場見学では会社とそのシウマイの歴史を、まず、映像で見せてくれる。明治41(1908)年に退職した横浜駅長が、駅構内で牛乳やサイダーなどの販売店としてはじめた会社であるとか、シウマイの販売をはじめたのが昭和3(1928)年であるとか。

 一瞬、我が目を疑った。1928年? そんな昔からのシウマイだったのだ。中華街のようなところでなら、その時代に登場していても、不思議はないが、ギョウザでさえ広く普及したのは戦後なのである。旧満州からの帰国者が広めたといわれている。

 つまり、ギョウザすら一般的ではない時代に、崎陽軒は横浜駅でシウマイを売り出したのだ。横浜といえば中華街ということで、そこで突き出しとして出されるシウマイを、冷めても美味しいように貝柱などを入れたり、一口サイズにしたりで、今に続く味を作り上げた。中華から横浜の名物にしたのだ。

昭和30年頃の駅販売はこんな感じ

 そして戦後の昭和29年、シウマイ弁当が売り出される。シウマイ以外に焼き魚や卵焼き、あるいは「酒悦」の福神漬、横浜カマボコなども入った弁当が。その後、微調整はあるものの、基本的にこのスタイルで今に至る。


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