前向きに読み解く経済の裏側

2018年5月7日

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結果がすべてなら、失敗者には厳罰を

 「スイングしてヒットが出たなら、褒めてやるが、失敗したら1年間掃除当番」というのは選択肢かもしれません。規律に違反したことを罰するのではなく、結果が悪かったことの「損害賠償」を求めるのです。「ヒーローになれるか掃除当番をさせられるか」というハイリスク・ハイリターンな賭けをするか否かを本人に選ばせる、というわけですね。

 ただ、これもチームメートが試合に敗れた悲しみを「1年間の掃除当番を塚崎に押し付ける」ことで払拭できる場合に限るでしょう。練習試合なら使えるかもしれませんが、「甲子園の決勝で塚崎が勝手にスイングして負けた」のでは、掃除当番を100年押し付けても到底足りませんから。

格好よいアドバイスには要注意

 本件については、「自分の頭で考えることが重要」「自分で考えて行動できる子を育てるべき」といった「格好良い評論」が多数出回っているはずです。評論家としては、その方が格好良いからです。しかし、筆者は敢えて格好の悪い立場で本稿を記しています。それが選手のためにもチームのためにも良いと考えるからです。

 評論家は責任が取れないのですから、無責任な評論は控えるべきです。少なくとも、自分が監督やチームメートや大将だとして、自分の頭で考えて勝手に行動する選手や兵隊がいた時にどう思うか、よく考えてから発言して欲しいものです。

 以下は、余談です。本件に限りません。学生に向かって「サラリーマンになって企業の歯車になるのは退屈な人生だ。夢を持って起業しなさい」といった格好良いアドバイスをする評論家がいますが、大学の就職支援責任者である筆者としては、えらい迷惑なことです(笑)。

 特に迷惑なのは、起業して成功した人々による「私のような大金持ちになろう」といった扇動です。筆者は学生に言っています。

 「起業して成功した人は君たちの前で起業を勧めるが、起業して失敗した人々は君たちの前で起業に反対したりしない。というより、起業に失敗した数多くの人々の存在にさえ、君たちは気づいていないかもしれない」

 「夢を持つことは大切だが、夢は夢として、現実も見つめよう。起業した人のうち、どれくらいが成功して大金持ちになっていて、どれくらいが破産して悲惨な生活を送っているのだろう。そうしたことを考えた上で、それでも夢を追いたい、というのなら、喜んで応援するが」。

  
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