Wedge REPORT

2018年6月6日

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地方は買い物より体験・空間で勝負

――個人的に注目しているのが中国客の動向だ。まだ買い物がメインの感があり、地方はその恩恵にあずかっていない

 買い物は、旅行の途中ですると荷物が多くなるので、空港の近くでガバッと買ったりする。たくさん買うのは出国直前で、地方ではあまり買わない。買い物だけに期待しても、地方での消費はあまり増えない。地方での消費を伸ばすには、地方だからこそできる体験だとか、地方だからこその空間作りが重要なポイントになる。

秋田県仙北市のブルーベリー農園を訪れたタイ人観光客

――地方にいいコンテンツはたくさんあるが、魅力が伝えきれていない印象がある

 東京には地方のアンテナショップがある。都道府県の9割近くが出していると思う。海外にはこういうアンテナショップはない。なぜ日本はあるかというと、江戸時代に300余りの藩があって、それぞれ鎖国に近い状況にあり、伝統工芸や文化が独自の育ち方をした。だから、アンテナショップが成り立つし、地方に行けば特徴のある面白いものがある。日本の魅力は、地域ごとに細分化された個性があることだ。

 外国人はこれをまだ分かっていない。日本は狭いし、狭いわりにいろんなものがあるという感じで終わっているのではないか。だから、江戸三百藩があって、それぞれが鎖国していたと説明すると、ストンと落ちるのではないか。陶磁器だって、有田、萩、備前、信楽、瀬戸……すごい数がある。

農業関係者は観光とコラボを

――農業の振興という面では今、どういうことを考えているのか

 日本の農業関係者は観光とうまくコラボすればいい。農業関係者が地元の農業関係の見どころをパンフレットにまとめても、置いてあるのが役場だったり、JAの窓口だったりする。せめて道の駅とか、観光案内所に置かなければ意味がない。

 日本の農産物は総じて美味しいけれど、PRが下手。ツーリズムをもっとうまく使うべきだ。国内パッケージ旅行の「JTBエース」のパンフレットで、農村景観が入っているかどうか、北海道と四国を例に2016年に調べたことがあった。北海道は富良野や美瑛の丘などの景観が入っていたけれども、四国はなかった。例えばミカンが有名な愛媛なら、海に面したミカン畑の美しい景観をパンフレットに載せてもいいと思うのだけれども、ミカンをアップで撮った写真はあっても、景観写真はなかった。ミカンの花が咲いている景色なんてとても美しいのに、生かさないのはもったいない。

 ミカンの話でいえば、外国人が泊まりたがる温泉宿で、机の上によく菓子の小分けされた袋が一つだけ置かれている。菓子を買ってほしいから置くわけだが、菓子ではなく、ミカンを置くべきではないか。外国人は温泉に泊まりたいとは言っても、旅行中泊まるのは一泊だけで、ほかはホテルだ。一泊だけのその機会に、日本の文化を感じてもらう工夫をすべきだ。

 日本の家庭だと、冬はこたつにミカンが置いてあって、家族がテレビを見ながら食べるというのが当たり前にあった。そういう日本的な時間の過ごし方を体験してもらう。本来、これは農業関係者が目を付けないといけないことだ。農産物を出荷するだけで終わりというのを、卒業しなければならない。

  
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