「不登校の子がこどものまちに来て、年下の子どもたちに頼られて活動するうちに『自信がついた』って言ってくれたんです」。これがさかたさんの目指すところだという。こどもDIY部も、学校、家庭以外の「第3の場所」として常設したいと考えているのは、そのためである。「こどものまち」に関わった教員経験のある方からも、「学校の評価軸だけでは評価しきれない子を、評価できる場がこどものまち」と言われたそうだ。
「不登校の子すべてを救うことはできなくても、一人でも救われる子がいれば」(さかたさん)。
小さい頃から自主性を育てる欧米と異なり、日本はどちらかというと「親や先生の言うことをよく聞く」のが良い子、と考えられがちだろう。一方で、「自分で考えられる子になってほしい」と相反する期待もされる。「こどものまち」は、あそびの場と言えども「大人の言うことはきかなくていいから自分で考えて動いてごらん」と言われるところであって、子どもたちにとってはなかなかハードルの高い環境かもしれない。しかし、そんな中でもちょっとしたやりとりから自信をつけたり、自分の好きなことを見つけたり、色々な発見があるだろう。教育の効果とは目に見える即効性のあるものばかりではないはずだ。
さかたさんは言う。「今年のこどものまちが終わり、改めてコアメンバーと振り返り気づいたのは、こどものまちにあそびに行くのは『留学』に似ているということ。『かわいい子には旅をさせよ』が手軽に体験できる。その時の親の役割は、『子どもを励ますこと』と『自分の力で困難を乗り越えるまで信じて待つこと』だと思うんです。それって送り出す親にもかなりの覚悟が必要かもしれません」。
さかたさんはさらなる高みを目指している。「ミュンヘンのこどものまちでは、議会も開かれるんです。日本では政治や社会の仕組みを学ぶ機会はかなり少ないと思いますので、なかなか難しいと思いますが、いつかチャレンジしたいと思っています」
7月には本場のこどものまちを視察予定のさかたさん。その報告を首を長くして待ちたい。
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