熱中症で騒ぐテレビに違和感 – なぜ球児には触れない?
「夏の風物詩」は大人たちのエゴではありませんか?
異常な暑さが続き日本中で熱中症患者が続出している。テレビでは朝から熱中症予防対策を紹介しながら、野外活動の自粛を呼びかける。そして学校や仕事場で熱中症患者でも発生しようものなら、学校や監督機関の責任を追及する。しかし、そこまで注意しながらも高校野球に対する見直しを求める意見は殆ど聞こえてこない。2020年に開かれる東京五輪での暑さ対策については相当心配しながらも、今、目の前で行われている未成年者たちの、球児たちのイベントに対する懸念が殆ど出てこない。私はこれに物凄い乖離を感じる。これが本当に私が「安全にうるさすぎる」と思った日本なのか?なぜ甲子園に対してはこんなに寛大だろうか。
もちろん、今開かれている大会の場所や時期を変更することは難しいだろう。しかしそろそろ効率的な運営、安全な運営のための大会の見直し、そして試合中止、延期に対する具体的な「基準」を作るために動き始めてもいいのではないだろうか。中継権、スポンサーなど、「大人たちの事情」のために、球児たちの安全を犠牲にしてはいけない。
この違和感の正体は何だろう――?
汗、涙、泥だらけのユニフォーム、スタンドの歓声で象徴される「甲子園のあるべき姿」は本当に球児たちのためのものなのだろうか。あるいは、ビジネス化した高校野球を盛り上げるために大人たちが演出した「青春」の幻影ではないだろうか。球児たちを炎天下のグラウンドに立たせているのは、球児たちの「夢」ではなく、大人たちの「エゴ」ではないか?
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