2024年4月23日(火)

その不調、放っておけない

2018年7月26日

 また同医師は、こうした自律神経の乱れには体の構造が影響していると指摘する。

せたがや内科・神経内科クリニックの久手堅司院長

 「自律神経は、脳から視床下部に中枢があり、首や脊髄を通り、全身へ指令を出します。人間の姿勢は、土踏まずにしっかりと体重が乗り、耳たぶ、肩、腰、膝、踝が横から見た時に一直線で、背骨がS字のラインを描いているのが理想的です。パソコンやスマートフォンの長時間利用により、首は前へ出やすくなり、男性は猫背、女性は反り腰になりやすい。そうした骨格の歪みが自律神経が通っている首や脊髄を圧迫し、寒暖差疲労を引き起こすベースになっています。私は頭痛やめまい、しびれ等を主に診る神経内科を専門としています。頭痛は片頭痛と緊張性頭痛の2種類にわけられますが、患者さんを診ていると、どちらも骨格の歪み、すなわち自律神経の乱れがベースになっている。首こりや肩こりにしても同様です」(同医師)。

 さらに寒暖差疲労で、エネルギーを多く消費すると冷え性になりやすいという。夏場になるとアイスコーヒーやビールなど冷たい飲み物についつい手が伸びてしまう。冷え性はまず手足の冷え、次に内臓の冷え、そして体全体の冷えとの順に進み、自律神経の働きを乱す。

セルフケアは欠かせない

 ここまで、寒暖差や骨格の歪み、冷え性による自律神経の乱れについて触れたが、自律神経の乱れにはストレスも大きな要因となる。同院には、中堅世代以降のビジネスパーソンが自律神経失調症と診断され受診するケースも多いという。実は、寒暖差疲労も気象病も他の病院では原因がわからず、自律神経失調症と診断されるケースがある。オフィスでは長時間パソコンを使用し、通勤時にはスマートフォンを手放せないことで骨格が歪み、仕事が忙しいために運動する時間を取ることができず、冷え性になりやすくなったり、オン・オフのスイッチをうまく入れられず不眠にと、負のスパイラルへ陥る患者さんもいるという。

 「私は沖縄出身ですが、南国に行くとストレスがリセットされた経験がある人も多いと思います。でも、沖縄は強い直射日光に、湿気も高く、自律神経を乱す要因は揃っているのに、体調が良くなる。仕事から離れ、オン・オフのスイッチを入れることは非常に大切です。キャリアアップを目指すのであれば、体と心のメンテナンスは非常に重要です。心と体がついていかなければ挫折しますから。たとえば、1週間休みが取れるのであれば、しっかりと休んでくださいとアドバイスします。休まないで、会社に復帰できなくなれば元もこうもありません」(同医師)。

 それではどのようなメンテナンスを行うと良いのだろうか。冷え性の場合、内臓の冷えには腹巻きや、極端に冷たい飲み物ばかりを飲むのは避け、常温か温かい飲み物を飲むようにするといいという。「首や肩は冷えやすいので気をつけたいですね。特に、首は皮下脂肪が少なく、血流が多いので温めることが大事です。夏であれば、38~40度の風呂に10~15分浸かり、体を温める。また、血流を良くするために、簡単な運動で良いので日常生活に取り入れましょう。たとえば、ウォーキングやヨガ、ラジオ体操など体が楽になると感じる運動が良いでしょう」(同医師)。

 骨格の歪みについては正しい姿勢で座ることが大切だ。男性の場合、股をやや開き座りがちだが、土踏まずを首幅に合わせ立ち、そのままスクワットをするように腰を下ろすと、骨盤が立った正しい座る姿勢になるという。

 キャリアアップのために健康を維持したいのであれば、セルフケアは欠かせないというところだろうか。

  
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