サッカーロシアワールドカップは、フランスの優勝で幕を閉じた。日本代表もベスト16まで進出。惜しくもベルギーに破れ史上初のベスト8の夢は絶たれたものの、期待の薄かった大会前とは比較にならないほどの盛り上がりを見せた。ところで、国際試合の場合、長さ100~110m、幅64~75mと定められた広いピッチ上を走り回るサッカー選手は、1試合平均約10キロを走ると言われている。その体を支えるために、彼らは一体どんな食事を取っているのか。
プロアスリートにとっての食事の重要性
現在(7月16日時点)J2リーグで16位につけるジェフユナイテッド市原・千葉。日本サッカーリーグ時代の名門、古河電工を母体とするこのチームはJリーグ開幕の年に参戦していた「オリジナル10」と言われるチームの一つだが、09年にJ2に降格以降、J2暮らしが続いている。
状況を打破すべく16年に高橋悠太GMが就任するとチーム改革を実施。2017年シーズンから、レアル・マドリーなどスペインのクラブで選手として活躍したアルゼンチン人のフアン・エスナイデル氏が監督に就任すると、劇的な改革を行った。ディフェンスラインを高く保ち、前線の選手が激しく相手にプレッシャーをかけボールを奪う「ハイライン、ハイプレス」と言われる、非常に運動量が要求される戦術を採用。同監督は、こうしたサッカースタイルの変革だけに留まらず、食事やセルフケア、休養についても変化をもたらした。なかでも最近注目を浴びているのが食事だ。
「就任直後のキャンプで選手たちの食事を見た時、同意できない点がいくつかありました。まず、量が多く、栄養バランスがうまく取れていなかった。また、食事時間についても同意できなかったのです」(エスナイデル監督)。同監督の意向により、主食の白米は玄米へ、主菜の肉や魚は素焼きなどへ変更され(脂身も取り除く)、野菜やフルーツ、ドライフルーツ、ナッツ、ヨーグルトなどが用意されるようになった。(残念ながら具体的な食事メニューについては教えていただけなかったので、取材の中で出てきた食材やこれまでに雑誌などで報じられている情報が元になっている)。食事回数についても、1日4回。シーズン中は、午前中のみのトレーニングの日は朝食と昼食を、午後もトレーニングがあるときは、朝食、昼食、軽食をクラブハウスで食べ、夕食は個々人で食べるようになっている。
「プロフェッショナルなアスリートにとって食事は非常に重要です。しっかりとした食事を取らなければ、良いパフォーマンスを発揮できませんし、怪我の可能性が高まります。たとえば、F1のレーシングカーを考えてみてください。質の悪いガソリンを入れても走りませんよね。サッカー選手も一緒です。また、F1 は予選と本戦、テスト走行以外では、車体のメンテナンスを行います。同様にサッカー選手も食事だけでなく、休養やセルフケアも重要なのです」(同監督)。