WEDGE REPORT

2018年10月13日

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出井康博 (いでい・やすひろ)

ジャーナリスト

1965年、岡山県に生まれる。ジャーナリスト。早稲田大学政治経済学部卒業。英字紙「ニッケイ・ウイークリー」記者、米国黒人問題専門のシンクタンク「政治経済研究ジョイント・センター」(ワシントンDC)客員研究員を経て、フリー。著書には、『移民クライシス 偽装留学生、奴隷労働の最前線』(角川新書)、『ルポ ニッポン絶望工場』(講談社+α新書)、『長寿大国の虚構 外国人介護士の現場を追う』(新潮社)、『黒人に最も愛され、FBIに最も恐れられた日本人』(講談社+α文庫)などがある。

『1万円』で売られる中古扇風機

 「扇風機は一時帰国した留学生から買い取りました。留学生たちはうちの店にいろいろな品物を卸してくれますよ」

 恐らく扇風機は、日本で粗大ゴミとして出されたものを留学生が持っていったのだろう。そんな品物にも「200万ドン」(約1万円)の値段がついている。それほどまで、ベトナムでは「日本製」が信奉されているのだ。

 実は、こうした専門商店で売られる商品には、留学生らが日本で盗んだものも含まれる。その証拠に、近隣の日系モールで日本の2倍近い値段で販売されるサプリメントが、商店では日本以下の価格で売られていたりする。

ベトナム人の「親日」が続くかどうかは別問題

 在日ベトナム人が多く利用するSNSでは、ベトナムへの無料航空券と引き換えに“運び屋”を募る投稿もよく目にする。航空券を負担しても利益が出るのは、原価のかからない盗品を運ばせるからである。SNSには、窃盗団のメンバーを募る広告まで載っている。ベトナムで「日本製」への需要が高いため、“運び屋”のみならず窃盗までもビジネスになってしまうのだ。

 ベトナム人が寄せる「日本製」への信頼は、今後もしばらく揺らぐことはないだろう。しかし、彼らの「親日」が続くかどうかは別問題だ。

 「留学生」として出稼ぎにやってくるベトナム人の多くは、日本で暮らすうちこの国を嫌いになっていく。借金に頼った留学費用の返済と学費の支払いのため、低賃金・重労働のアルバイトに酷使されるからである。借金返済に追われ、窃盗などの犯罪に走る留学生も増えている。ベトナムにおける対日感情を悪化させないためにも、“偽装留学生”の流入は早急に止める必要がある。

  
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