ビールには、麦汁に酵母を加え、麦汁中の糖分をアルコールと炭酸ガスに分解する工程がある。アイスプラスビールには、上面発酵酵母という酵母が用いられている。欧州産ビールによく使われる酵母で、発酵の過程で甘くフルーティな香気成分を発し、味に厚みがでるのが特徴。
ホップも、これまたアメリカンペールエール等に使用されている、甘い香りが特徴の「カスケードホップ」を使用。ビールに添加する糖類も、生産の過程で、酵母によって分解されない乳糖を用いている。もちろん、氷を入れることが前提なので、既存ビールよりやや濃い濃度で製品化している。
ビールに氷を入れるデメリットは、苦みや酸味が際だち飲みにくくなることと、炭酸が少なくなり爽快感が失われることだ。ただ、前者は甘みを増すことで克服し、爽快感も氷の冷たさで補えるそうだ。
「氷で割るビール」というコンセプトを先に立て、そのデメリットをメリットに変える工夫を重ねたアイスプラスビール。8月末頃まで、コンビニ限定販売だが、吉野さんは「今年の夏だけでなく、新しい飲み方として定着し、全国販売につなげたい」と意気込んでいる。
水を入れると繰り返し使える「水電池」
単三電池に水を一滴入れると化学反応が起きて電気が発生する。しかも、ジュース、唾液、酒、尿でも代用可。未開封で20年保存が可能なだけでなく、自然放電もない。有害な電化亜鉛などを使っていないため、使用後は不燃物として捨てられる――。
東日本大震災をきっかけに、備蓄用として注目を浴びているのが、商品名「NOPOPO」という水電池である。電池を休ませながら使えば、繰り返し注水することで3~5回使うことができる。高出力のLEDライトのような機器に使うと5~6時間程度の稼働になるが、携帯ラジオで、中程度の音量にすれば約48時間はもつという。防災用途としては十分なスペックといえる。
NOPOPOを開発・発売するのは、2004年に設立されたばかりの日本協能電子(東京都・港区)だ。社長の石川忠氏(55歳)は、中央大学の法律学科を卒業後、レジスター大手の日本NCRで役員にまで上り詰めた後、外資系企業シスコシステムズのコーポレートディレクターを務めたサラリーマンだったが、03年に脱サラ。起業のネタを探しているときに出会ったのが、現在の水電池の原型だった。水電池自体は技術的に新しいものではなかったが、未だ商品として世の中に存在していなく、有害物質を使わないエコな電池ということで、将来性を感じ取り、実用化させるための開発を決意した。